企業のインターンシップ活発化 短期決戦、中小に危機感「優秀な子は…」

SankeiBiz 2014.7.19

インテリジェンスビジネスソリューションズでは学生を集め、講座を開催している(省略)

 平成28年卒業予定の学生に対するインターンシップ(学生が在学中、企業に体験入社する制度)の募集が増加している。28年卒からの就職・採用活動の開始時期後ろ倒しや売り手市場を背景に企業側の危機感は強い。(油原聡子)

 売り手市場

 6月1日、28年卒対象の就職サイトにインターンシップ情報の掲載が始まった。「リクナビ2016」掲載の募集企業数は約2700社で、昨年同期の2倍強。「マイナビ2016」の企業数は約1400社と同3割増だ。マイナビは今年、4年ぶりにインターンシップフェアを開催。マイナビの三上隆次編集長は「新卒採用は売り手市場。27年卒では採用に苦労した企業も多いが、インターンシップ実施企業は比較的うまくいった。採用スケジュールの変更も影響している」。

 経団連は政府から要請のあった「採用選考活動の開始時期の後ろ倒し」の対応として、「採用選考に関する企業の倫理憲章」を「採用選考に関する指針」と名称を変更。28年卒から適用され、採用選考活動の開始時期は「3月に広報活動開始」「8月に選考活動開始」と後ろ倒しになる。10月以降の内定は従来通りのため、学生にとって2カ月間の短期決戦。知名度の高い企業に有利とされるが、売り手市場を背景に大手もインターンシップの回数やメニューを増やしている。

 特に危機感が強いのが中堅・中小企業だ。あるITベンチャーの人事担当者は「前倒しで探していかないと優秀な子は採用できない」と打ち明ける。企業人事のポータルサイト「HRプロ」の調査では、中小でインターンシップを実施する企業は昨年に比べ、ほぼ倍増する見込みだ。

 松岡仁主任研究員は「秋や冬にインターンシップを実施する企業も増えた。企業対象の調査では『採用選考スケジュールが守られると思う』との回答は1割以下。インターンシップに参加した優秀層から絞り込み、選考につなげていくのではないか。より多くの学生を取り込むため、1日だけのインターンシップも増えている」。

 関係構築を

 中小企業にとって悩みの種が内定辞退だ。前倒しで採用しても後に大手から内定が出れば辞退されてしまうこともある。そのため、学生との関係づくりに力を入れたインターンシップを行う企業も出てきた。

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