行政指導段階で公表も 厚労省、不正防止に力

共同通信 2015年07月02日

  靴販売大手エービーシー・マートを書類送検した東京労働局の特別対策班設置の他にも、厚生労働省は長時間労働対策に力を入れている。違法な長時間労働を繰り返す悪質なケースの行政指導段階での企業名公表や、全国の事業所を対象とした重点監督の実施といった対策だ。

 厚労省は昨年9月、塩崎恭久厚労相をトップとする「長時間労働削減推進本部」を設置。今年5月には行政指導段階で企業名を公表することにした。

  対象となるのは、複数の都道府県に支店や営業所を持ち、社会的な影響力のある大企業。労働時間や割増賃金に関する労働基準法違反があり、時間外労働が月100時間超なる労働者が多数に上るといったケースだ。

 こうした企業が、1年程度の間に3カ所以上の支店や営業所で違法な長時間労働を繰り返した場合に公表する。適用例はないが、原則として書類送検後に発表していたのを変更することで、企業の自主的な改善を狙う。

 昨年11月には、違法な長時間労働が疑われる全国の4561の事業所に対する重点 監督を実施し、半数に当たる2304事業所に是正を勧告した。月280時間の時間外労働をさせた上、残業代を抑えるために会社が労働時間を改ざんしていた悪質な例も見つかった。

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