http://mainichi.jp/articles/20160120/k00/00e/040/231000c
毎日新聞2016年1月20日
非正規労働者が2000万人を超す中、非正規の7割が年収200万円に届かないことが、連合などのアンケートで分かった。アベノミクスの成果を強調する安倍晋三首相の国会答弁「妻が景気がよくなっていくからと働き始めたら(月に)25万円(年収300万円)」にはほど遠く、食事の回数を減らしたり、医者にかかれなかったりという貧困の実態が浮かんだ。
調査は非正規の家計や暮らしぶりを把握する目的で行われ、首都圏や中京圏、関西圏の20〜49歳のパート、契約、派遣社員など約2000人が回答。自分の収入が世帯収入の半分以上を占める「主稼得者(しゅかとくしゃ)」(単身世帯は全員該当)と、世帯収入の半分未満の家計補助者に分けて集計した。
それによると、全体では「年収100万円未満」が38.4%と全体の4割近くと最多で、「100万円以上200万円未満」の31.7%と合わせて7割が収入200万円に届いていない。主稼得者では男性の37.5%、女性の48.9%が「ワーキングプア(年収200万円以下の貧困層)」の範囲に入った。
また、主稼得者の世帯では「貯蓄なし」が27.9%、「生活苦への対策で食事の回数を減らした」が20.9%に上った。「医者にかかれなかった」も13.0%あった。また、家計補助者も合わせた全体で未婚は53.5%、男性に限ると89.6%に上る。年収が低いほど未婚率は高い。連合非正規労働センターの杉山寿英次長は「非正規雇用を起点に少子化や貧困の連鎖など社会のゆがみが生まれている。処遇改善が急務だ」と話す。【東海林智】