中日新聞 2016年4月5日
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016040590085102.html
トヨタ自動車系の大手部品メーカー、アイシン・エィ・ダブリュ(AW、愛知県安城市)の昨年度の採用試験をめぐり、同社幹部(当時)の男性(43)から合格を条件に不適切な関係を迫られるなどして精神的苦痛を受けたとして、県内の20代の元女子大生が、男性と同社に連帯して550万円を支払うよう求める損害賠償請求訴訟を名古屋地裁に起こした。男性には単独で別の不法行為もあったとして、さらに55万円の支払いを求めている。
関係者によると、男性は、トヨタグループ創始者豊田佐吉氏(故人)の兄弟の孫に当たり、当時は製造本部副本部長だった。アイシンAWは昨年11月、この問題に関し男性の不正が社内調査で確認されたとして、懲戒解雇にしている。
訴状によると、大学在学中に同社を第1志望に就職活動をしていた女性は昨年、アルバイト先で男性と知り合った。同8月の筆記試験に合格し、一次面接の直前、身分を明かした男性に「筆記試験は合格ラインに達していなかったが、僕の一言で受からせた」などと言われて食事に誘われ、最終面接にかけて繰り返し面会を求められたと主張。
女性は「男性はトヨタの創業者一族の1人であることを利用し、採用試験の合格の見返りに男女関係を迫り、拒絶すると不合格にされた。会社は管理責任などがあった」と訴えている。
男性は取材に「酒の席での軽いやりとりで彼女に妄想させてしまったことについては自覚が足りなかった。しかし、男女関係を求めるつもりはなかったし、便宜を図るつもりもなかった。会社側には(不合格を)指示していない」と反論。アイシンAW広報部は「訴状が届いておらず、お答えできない」としている。