SankeiBiz 2016.4.28
http://www.sankeibiz.jp/business/news/160428/bsa1604280500003-n1.htm
燃費データ不正問題で揺れる三菱自動車本社(東京都港区)【省略】
三菱自動車が2001年1月に、自社の燃費データ試験が法令と異なる不正な方法で行われていると認識していた可能性があることが27日、分かった。データ計測を担当する性能実験部がこの時点で、正しい手順と自社の方法のデータにどの程度違いが出るか比較試験をしており、同部関係者は不正な方法の使用を把握していたとみられる。
さらに07年2月には社内マニュアルを改定して正しい試験方法を周知したが、自浄作用は働かなかった。
法令と異なる試験方法は1991年に使い始め、最近まで続いていた。01年に比較試験をした理由ははっきりしないが、結果はあまり差がなかったという。このため不正な方法を使い続けたとの見方もある。
マニュアルは、正しい試験方法である「国内は惰行法」と示していた。性能実験部が案を作成し、他部門の意見を反映させた上でまとめた。
相川哲郎社長は26日の記者会見で「当時これで良いと思って始めた方法が伝承されて、疑われずに続いていた可能性もある」として故意かどうか分からないとの考えを示した。しかし試験方法の誤りを示すマニュアルが約10年間にわたり無視され続けたことになり、多くの社員が組織的に不正に関与した疑いもある。
13年に生産を始めた軽自動車4車種では、競合他社を上回る燃費目標を達成するため、さらにデータに改竄(かいざん)を加えたことが分かっている。三菱自動車は弁護士でつくる特別調査委員会で実態解明を進める方針だ。
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■再発防止期待に疑問
企業倫理に詳しい森岡孝二関西大名誉教授(企業社会論)の話 リコール隠し問題で非難を浴び、三菱自動車は抜本的な出直しをしたのではなかったのか。再び重大な不正で消費者を欺き、不信感は拭い切れないほど大きい。日本企業の不祥事はいろいろあるが、不正を引き起こす体質がこれほど根深い会社は少ない。トップを含めてコンプライアンス(法令順守)が欠如しており、原因究明には特別調査委員会が絶対に必要だ。ただ会社に再発防止を期待できるのか疑問で、経営陣の総入れ替えぐらいでは済まない。
■日産の見方も把握を
自動車評論家の御堀直嗣氏の話 約25年間にわたり不正な試験方法が採られていたのは驚きで、あってはならないことだ。設備の問題など三菱自動車として正規の方法ではできない事情があったのかもしれず、なぜその方法が選ばれたのか、今後の調査の焦点の一つだ。また、今回の不正の対象となった軽自動車は日産自動車も生産に深く関わっていたはずだ。三菱自の責任が小さくなるわけではないが、消費者の立場からすると、日産がどう受け止めているかも知らないと、問題の全体像が理解できないのではないか。