政府が導入を目指す「残業時間の罰則付き上限規制」の法制化について議論している厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会が30日開かれ、労働基準法など関連法の改正案を早期に国会に提出するよう厚労省に求める報告書案が示された。分科会は6月上旬にも報告書をとりまとめる。厚労省は法案作りに着手し、今秋の臨時国会に提出する方針だ。
報告書案は、残業時間の上限について、原則として「年360時間、月45時間」、繁忙期などの特例として「年720時間」と設定し、極めて忙しい1カ月は「100時間未満」などと制限をかけるとした。3月末にまとまった「働き方改革実行計画」に盛り込まれた内容と同じだ。
「年720時間」の上限に休日労働が含まれておらず、「抜け穴」があるとの批判がある。報告書案は、企業が休日労働を抑制することを指針で定めるよう求めた。残業規制の適用除外となる研究開発職について、月100時間を超える時間外労働をした人に医師の面談を義務づけることも盛り込んだ。これに違反した企業に罰則を科すため、厚労省は労働安全衛生法の改正を目指す。