過労死した人びとの家族が全国から集った学習交流会が17日、京都市内で始まりました。大阪過労死を考える家族の会主催で、2日間の日程です。各地から約50人が参加しました。
森岡孝二・関西大学教授が講演。このなかで「日本の働きすぎの元凶は、家事労働もせず長時間のサービス残業も辞さずに、会社に能動的生活時間のすべてをささげて妻子を養う男性稼ぎ手に範をとった正社員モデルだ」と述べ、週60時間以上働く「過労死予備軍」と言える就業者は自営業者や家族従業者を含めれば700万人以上いると指摘しました。サービス残業解消型のワークシェアリング(仕事の分かち合い)を提起しました。
討論のなかで、全国過労死家族の会結成メンバーの八木光恵さん(68)は、広告クリエーターとして「創芸」に勤務していた夫の俊亜さん=当時43歳=を1987年、急性心筋こうそくで亡くしました。八木さんは、「過労死」という言葉が一般的ではなかった時期に「命が尊いということを訴えていかなければ、命は紙くず同然に扱われてしまう」と夫の過労死に抗議するたたかいの軌跡を語りました。
中原のり子さんは、小児科医だった夫、利郎さん=当時44歳=を過労自殺で亡くしました。病院の管理者責任を問う民事訴訟で今月7日、最高裁の和解成立を報告しました。「たたかっている方々に勇気を持ってたたかいつづけていただきたい」と話しました。
会場から、息子を亡くし初参加した女性が発言し「同世代の子どもを持つ親から、子どもの働き方が心配でならないという話をよく聞きます。過労死を防ぐ方向に持っていかなければならないと思います」と訴えました。(赤旗しんぶん7月18日)