職場での精神疾患を把握する方法について検討していた厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」は7日、健康診断とは別に、うつなどの兆候がないかなどをチェックするストレス検査の義務付けを提言する報告書を公表した(報告書概要)。
7月の報告書案では、プライバシー保護に対する懸念があったため、健康診断でストレス検査を行うことは見送られた。今回の報告では、ストレス検査を健康診断と別の枠組みにし、プライバシーを守る方法も示すことで、すべての企業が取り組みやすいようにした。
報告書によると、企業は健康診断とは別に「よく眠れない」「ゆううつだ」などの項目を含むストレス検査を実施。医師は、面接が必要であると判断した場合、労働者本人だけに通知し、企業には知らせないようにする。
面接に応じるかどうかは本人が判断する。面接の結果、医師が休業や残業の制限、配置転換などが必要と判断した場合、本人の同意を得た上で、企業に意見を言うことができる。企業側は面接を理由に本人に不利益な取り扱いは行ってはならない。
報告書案の段階では、健診の問診票にストレス検査の項目を追加し、自覚症状を確認するとしていた。ただ、自覚症状の有無や医師との面接の必要性は企業側に伝えられる形となっていた。このため、検討会の委員や厚労省内からは「自覚症状のある労働者が不利益な取り扱いを恐れ、きちんとした検査はできない」などの異論が出ていたという。
今後、公労使でつくる労働政策審議会で労働安全衛生法改正の必要性も含めて議論し、早ければ2012年度からの実施を目指す。ストレス検査に含める項目や、検査費用の負担、医師の守秘義務などの問題については労政審で詰める。