大学生の就職(内定)率の推移
今春卒業予定の大学生の就職内定率(2月1日現在)は80.5%で、前年同期を3.1ポイント上回ったことが16日、文部科学、厚生労働両省の調査で分かった。96年の調査開始以降では前年が最低だったが、今回は過去3番目に悪く「就職氷河期」と呼ばれた00年(81.6%)を下回る水準が続いている。厚労省は「企業業績の回復に加え、個別支援策が功を奏してきたが、依然として厳しい水準だ」と分析。年度末へ向けた支援を強化している。
調査は、国公私立大62校の4770人を対象に追跡して実施している。文科省によると、今春の卒業予定者約54万9500人のうち、就職希望者は約40万5900人。内定者は約32万6800人と推計され、2月1日時点での未内定者を約7万9000人と見込んでいる。政府は、ハローワークを通じた企業との引き合わせなど未内定の学生らへの集中支援策に取り組んでおり、1〜2月だけで学生8524人が内定を得て、就職内定率に2ポイント程度の押し上げ効果があったという。
地域別では、東日本大震災で大きな被害を受けた被災3県(岩手、宮城、福島)を含む北海道・東北地区が、前年同期比0.8ポイント増の79.1%。関東の83.3%(同3.4ポイント増)が最も高かったほか、中部79.5%(同8.8ポイント増)▽近畿80.5%(同0.2ポイント増)▽中国・四国76.9%(同0.6ポイント増)▽九州77.3%(同6.8ポイント増)−−といずれも増加していた。
男女別は、男子が80.7%(同1.8ポイント増)、女子は80.3%(同4.6ポイント増)となり、男女差はほとんどない。文理別では、理系が85.6%(同5.3ポイント増)、文系が79.4%(同2.6ポイント増)と、理系優位の状況が続いている。【木村健二】
◇高校生は86.4% 厳しい状況
一方、厚生労働省が16日発表した今月卒業する高校生の就職内定率は1月現在86.4%で、前年同期比2.9ポイント増だった。高校新卒者の求人倍率は1.21倍で、リーマン・ショック直後の1.17倍(10年1月末時点)から低水準は変わらず、厳しい状況が続いている。同省は「学校やハローワークの支援強化に加え、就職を目指す高校生自身の頑張りが内定率を押し上げた」と分析している。
東日本大震災で被害の大きかった被災3県の内定率も、岩手92.5%▽宮城88.1%▽福島88.7%で、企業の被災地支援の広がりなどを背景に、いずれも前年同期を上回った。【井上英介】
毎日新聞 2012年3月16日 10時14分(最終更新 3月16日 11時12分)