日刊スポーツ 2012年6月26日(共同通信)
消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革法案が衆院を通過しました。
Q 消費税増税で家計にはどんな影響がありそうですか。
A 民間シンクタンクの大和総研が、消費税率が5%の2011年と比べ、年間を通して税率が10%となる16年の消費税負担額がどれくらい増えるかを試算しています。夫婦と子ども2人の世帯で、夫婦の一方が働いているケースでは、年収500万円の世帯で16万7000円増えます。
Q それより年収が少ない場合、多い場合はどうなりますか。
A 年収300万円の世帯で10万6700円、800万円の世帯で24万9200円、1000万円の世帯で29万4000円と、年収が多いほど増税による負担も大きくなります。景気を支える個人消費の落ち込みが懸念されます。
Q 年収が少ない人ほど負担も小さいということですか。
A ただ試算からは収入が少ない人ほど消費税の負担を重く感じる「逆進性」も見て取れます。年収に占める負担増の割合を計算すると、年収1000万円では2・9%ですが、年収300万円では3・6%になります。
Q 増税は消費税以外にもあるそうですね。
A 東日本大震災の復興費用を賄う所得税の増税が13年1月から、個人住民税の増税が14年6月からそれぞれ始まります。家計の負担感を和らげるには、世帯年収が増えるように、景気の本格的な回復を急ぐ必要があります。
Q 社会保障制度の改革で、厚生年金や医療保険に加入できるようになるパートなど短時間労働者はどんな人たちですか。
A 月収8万8000円以上で労働時間が週20時間以上。従業員500人超の企業に1年以上勤める約25万人が対象で、学生は除外です。16年10月から実施されます。
Q 厚生年金などに加入すると、保険料は安くなりますか。
A 人によって違うので一概には言えませんが、厚生労働省の試算を基に、月収10万円の46歳の女性が現在、国民年金と国民健康保険に加入している場合で考えてみましょう。独身者や母子家庭の母は厚生年金に加入すると、年金保険料が年約8万4000円(月約7000円)減ります。医療保険は健康保険組合などに移り、負担が軽くなります。
Q 保険料が高くなる人はいないのですか。
A 主婦パートです。年金、医療ともに現在は保険料を納めていませんから。両方で年約16万2000円(月約1万3500円)を支払うことになります。
Q 年金を受給する低所得者に給付金を支給するそうですが、どんな制度ですか。
A 年収が国民年金の満額(約77万円)以下の人を対象に、消費税率が10%になる15年10月から始めます。金額は月5000円を基準額とし、年金保険料の納付期間が短いと減ります。経済的理由などで免除期間がある人には、手続きをとった期間に応じて支給します。
Q 子育て分野で、現行の「認定こども園」を改善することになりましたが、暮らしにはどんな影響がありますか。
A 保育ママなど小規模な保育への財政支援を手厚くしますから、共働き夫婦が子どもを預けて働きやすくなると期待されます。(共同)