大企業の業況判断DIの推移
日銀は14日、12月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI=景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた数値)は、大企業・製造業がマイナス12と、前回9月調査(マイナス3)比で9ポイント悪化した。海外経済の減速に加え、日中関係の悪化に伴う輸出と生産の落ち込みが響いた。DIの悪化は2期連続で、東日本大震災後の11年6月調査(マイナス9)を下回る水準。景気てこ入れのための大型補正予算編成や追加金融緩和を求める声が一段と強まりそうだ。
エコカー補助金の終了で生産の落ち込んだ自動車がマイナス9と前回から28ポイント下落した。大手家電メーカーの業績下方修正が相次いだ電気機械もマイナス17と4ポイント下落するなど、大企業・製造業の16業種中12業種で悪化。前回調査には十分反映されなかった中国での反日デモや日本製品の不買運動の影響も表れたとみられる。
大企業・非製造業のDIはプラス4と4ポイント下落した。製造業に比べて輸出減少の影響を受けにくいものの、自動車販売の不振や中国からの旅行者減が打撃となり、運輸や卸売り、小売りなど12業種中9業種で悪化した。
堅調な住宅市場や復興需要を背景に不動産(プラス13)は改善した。
設備投資計画(12年度)では、大企業・製造業の投資額が前年度比11.1%増と、前回調査から小幅に下方修正された。
3カ月後のDIは、米国経済が改善方向にあることや中国経済に底打ち感が出ていること、円高修正などを背景に大企業・製造業が今回より2ポイント改善のマイナス10を予想。一方、大企業・非製造業は1ポイント悪化のプラス3を見込んだ。
中小企業は製造業が前回調査比4ポイント下落のマイナス18と4期連続で悪化。非製造業は2ポイント下落のマイナス11と6期ぶりに悪化した。3カ月後は製造業がマイナス26、非製造業がマイナス19と一層の悪化を予想している。【三沢耕平】