「ジョブ型正社員」導入など130項目を答申 規制改革会議

SankeiBiz 2013.6.5

 政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は5日、答申を取りまとめ、安倍晋三首相に提出した。勤務地や職務を限定する「ジョブ型正社員」制度の雇用ルールを2014年度までに整備することや、水素スタンドの設置基準の見直しで、燃料電池車などの次世代自動車の「世界最速普及」を目指すことなど130項目を明記した。

 答申を受け取った安倍首相は「一刻も早く実行していく決意だ。安倍内閣の規制改革には終わりはない」と強調した。法令・省令の改正などの具体的な手順を盛り込んだ実施計画を14日に閣議決定する。

 答申は「エネルギー・環境」「健康・医療」「雇用」「保育」「創業」の5つを重点分野とし、規制緩和策を提言。岡議長は同日の記者会見で、答申に盛り込んだ高効率の石炭火力発電所新設の環境影響評価(アセスメント)の期間短縮を例に挙げて、「(同発電所の)普及が進めば、将来のインフラ輸出につながる」と指摘し、成長戦略を意識して規制緩和を取りまとめたことを強調した。

ただ、答申から、農業や混合医療など担当省庁からの抵抗が大きいとされる規制改革項目が外れたことで「改革が進んでいない」(竹中平蔵慶大教授)との批判もある。

 これについて岡議長は、7月以降、農業や混合医療の議論を進め、「(次の答申を出す)来年6月を待たずに、さまざまな項目で見解表明し、改革を進める」との考えを示した。

■答申のポイント

 ・勤務地や職務が限定された「ジョブ型正社員」制度のルールを2014年度までに整備

 ・水素スタンド設置基準など次世代自動車関連規制を15年までに総括的に見直し

 ・ビッグデータの普及に向け、個人情報の利用制限のガイドラインを14年中に明確化する

 ・インターネットを活用した資金調達「クラウド・ファンディング」の枠組みを13年度中に整備

この記事を書いた人