30日朝、東京から南におよそ1700キロの沖ノ鳥島で、国土交通省関東地方整備局の事業で桟橋の建設工事に当たっていた作業員16人が海に投げ出され、このうち5人が死亡し2人が行方不明となっている事故で、作業員たちが乗っていた桟橋の一部が船にえい航される際、何らかの原因で傾きひっくり返ったことが分かりました。
関東地方整備局は事故の詳しい状況や原因を調べています。
30日午前7時半ごろ、沖ノ鳥島で国土交通省関東地方整備局の事業で桟橋の建設工事に当たっていた作業員16人が、乗っていた桟橋の一部がひっくり返り海に投げ出されました。
このうち、新日鉄住金エンジニアリングの中島健一さん(63)と、深田サルベージ建設の川内歩さん(48)と平信雄さん(63)、吉村伸也さん(35)、それに財団法人「港湾空港総合技術センター」に所属し、監督員補助をしていた60代の男性の合わせて5人が死亡しました。
また、五洋建設の老田尚志さん(36)と、下請け会社の山九の中西隆さん(64)の2人が行方不明になっています。
そのほかの9人は救助され、このうち4人が軽いけがをしているということです。
関東地方整備局によりますと、この工事は沖ノ鳥島に調査船や資材の運搬船などが接岸、停泊できるように桟橋を建設するためのもので、五洋建設と新日鉄住金エンジニアリング、それに東亜建設工業のジョイントベンチャーが請け負っていました。
30日は長さ30メートル、幅20メートル、高さ5メートルの桟橋の一部を設置する作業が行われ、桟橋を台船に乗せて島のおよそ600メートル沖まで運び台船を沈めて海に浮かべたあと、別の船でえい航したところ何らかの原因で傾き、ひっくり返ったということです。
関東地方整備局によりますと、当時、現場の海域の天候は晴れで、波の高さは0.8メートル、東南東の5メートルの風が吹いていたということです。
事故を受けて関東地方整備局は30日午後、記者会見を開き、松永康男港湾空港部長が「このような大きな事故を起こしてしまい申し訳ありませんでした」と謝罪したうえで、行方不明になっている2人の捜索に全力を挙げるとともに、事故の原因を究明する考えを示しました。
この事故で、第三管区海上保安本部は航空機2機を現場上空に出して捜索を行うとともに、巡視船2隻を現場の海域に向かわせています。