http://www.asahi.com/articles/ASH3K5RGHH3KULFA02R.html
朝日デジタル 2015年3月18日
うつ病の社員への企業支援への満足度が、日本は主要国で最も低いとの結果が、デンマークの製薬会社の調査で出た。うつ病の同僚がいても「何もしない」という回答も最多だった。専門家は、「国際的に日本の対応の遅れが明らかになった」と指摘する。
調査したのは、うつ病薬で大手のルンドベック社。2013年から14年にかけ、日本を含む16カ国で、16〜64歳の会社員、1千人ずつを調べた。
調査結果によると、日本でうつ病と診断されたことがある人は全体の10%で、中国、韓国に次ぎ3番目に低かった。最高は英国の27%だった。
管理職で自分の会社の支援策に満足しているのは、日本は21・0%にとどまり、最下位だった。15位の韓国(47・1%)を大きく下回り、日本の満足度の低さが際立っている。一方、うつ病の同僚がいると知っても「何もしない」人は40%だった。
今年12月に改正労働安全衛生法が施行になると、50人以上が働く職場では企業に従業員のストレス検査が義務づけられる。日本の調査を監修した国際医療福祉大学の上島国利教授は「国際比較で日本のうつ病への対応の遅れが明らかになった」と話す。慶応大がまとめた調査によると、08年の国内のうつ病性障害によるコスト(医療費、社会的損失など)は推定で約3兆900億円。うち約半分が従業員の休業や仕事のミスが増えたなど生産性の低下によるものとしている。(伊沢友之)