衆院平和安全法制特別委員会で15日、与党が単独で安全保障関連法案の採決を強行して可決したことを受け、衆院議院運営委員会の理事会は16日に本会議を開き、関連法案を採決することを林幹雄委員長(自民)の職権で決めた。反発を強める野党5党は本会議採決に応じず退席する方針だが、与党は再び採決を強行し、法案は可決、参院に送付される見通しだ。【水脇友輔、佐藤慶】
関連法案が成立すれば、歴代内閣が「行使できない」としてきた集団的自衛権の行使に道を開くほか、外国軍への後方支援や国連平和維持活動(PKO)での活動も大きく拡大する。ただ、憲法学者が「違憲」と指摘しているほか、各種世論調査で「説明が不十分」との回答が多数を占め、成立を急ぐ政府・与党の姿勢が参院審議でも問われることになる。
安倍晋三首相は可決後、「国会での審議はさらに続く。党でも各議員が説明する努力を重ねていくことになる」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。
これに先立つ特別委の締めくくりの質疑で、首相は国民の理解が十分ではないとの認識を示した。ただ、「1960年の日米安保改定も国民の理解は進まなかった。PKO協力法(92年)もそうだが、その後の実績で国民から理解や支持を得た」と述べ、今国会での成立は譲らない考えを示した。
採決は、野党議員が「強行採決反対」などと書かれた紙を掲げ、浜田靖一委員長(自民)を取り囲んで抗議する中で行われた。採決後、民主、維新、共産、社民、生活の野党5党は党首会談を行い、「抗議の意味で採決には加わらない」として16日の本会議での政府案採決を退席することで合意した。民主党の岡田克也代表は記者団に「野党が退席で一致したのは、意義深いものがある」と強調。維新の党の松野頼久代表は「考えられないような暴挙だ。強行採決に出たことは許し難い」と与党の対応を批判した。