JIJI.COM 2018年2月28日
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018022801138&g=pol
政府・与党は28日、今国会の焦点である「働き方改革」関連法案の提出を先送りする方針を固めた。安倍晋三首相は同法案に盛り込む裁量労働制に関し、厚生労働省が実施した調査に不備があった問題を受け、実態把握を優先する方針を表明。提出は4月以降にずれ込むとの見方が政府・与党内で強い。与党からは、裁量労働制の対象業務拡大を法案から切り離すべきだとの意見が浮上した。
裁量労働制に関する調査のデータに多くの異常値が見つかったことへの批判が高まり、政府として対応を迫られている。首相は今国会を「働き方改革国会」と位置付けており、法案成立が最優先課題。既に約1週間遅らせた提出時期の再延期を余儀なくされることは、政権にとって打撃となりそうだ。
首相は28日の衆院予算委員会で、データ問題について「国民に疑念を抱かせたことは誠に遺憾だ」と語った上で、「ここをきっちり実態把握しない限り、政府全体として前に進めない」と言明した。実態把握に「相応の時間を要する」との見通しを示す一方、具体策には言及しなかった。
加藤勝信厚労相は同委で「今あるデータで使えるか、とはなり得ない」と述べ、追加調査に含みを持たせた。ただ、実態把握の手法については「厚労省で検討したい」と述べるにとどめた。
与野党幹事長会談で野党が再調査を求めたのに対し、与党は拒否した経緯がある。公明党中堅は実態把握について「今あるデータの丁寧な精査だ」との見方を示した。
自民党内では、裁量労働制拡大を法案から分離し、残業時間の上限規制や同一労働同一賃金などの実現を先行させるよう求める声が出始めた。幹部の一人は「最終的には切り離されると思う」と語った。