□連合通信 2019年4月25日「このままでは介護崩壊進む」/全労連の介護労働実態調査
全労連は4月22日、介護現場で働く約6千人の労働実態の調査結果を発表した。介護施設では約半数が健康不安を感じ、3分の2が「辞めたい」と思うことがあると答えている。岩橋祐治副議長は「深刻な実態が浮き彫りになった。処遇改善と介護制度の見直しを行わなければ介護崩壊がますます進む」と警鐘を鳴らした。
調査は昨年10月から4カ月間、傘下の労組を通じ、施設介護、訪問介護で働く5817人に聞いた。
介護施設で働く人は、「病気がち」を含め、約半数が健康不安を感じている。疲労の蓄積を訴える声は6割に上る。
仕事を辞めたいと思うことがあるかとの問いには、「いつも」「ときどき」の合計が6割を超える。理由は複数回答で「仕事がつらい・忙しすぎる・体力が続かない」が55・9%。以下、「賃金が安い」39・9%、「仕事の達成感・やりがいを感じられない」21・6%が続く(グラフ)。正規労働者の賃金は22・6万円で、全産業平均より8万円低い。
64%が「目の届かない所での転倒・転落、誤嚥(ごえん)」の事故を1年以内に経験したと答えている。事故の原因について多忙と人員不足の指摘が圧倒的に多い。
●人手不足が深刻
訪問介護で働く人の平均年齢は55・5歳。高齢化が進む。人手不足を実感している割合は6割、正社員では8割に及ぶ。「訪問に追われ事務的な業務ができない」など、ヘルパー不足が正社員の仕事に影響しているという。
千葉県内で登録ヘルパーとして働く亀井貴子さんは同日の会見で「時給は1390円。キャンセル時の保障がなく不安定だ。介護現場の処遇は改善されていない」と語った。
〈グラフ〉今の仕事をやめたいと思う理由(複数回答、3つまで選択)
〈写真〉会見では「介護従事者の労働条件が劣悪なままでは良い介護が提供されない」と、制度の改善が訴えられた(4月22日、都内)
□訪問介護 登録ヘルパー半数以上が60歳超
日テレNEWS242019年04月22日18時20分
介護に携わる労働者の高齢化が進み、特に訪問介護では、登録ヘルパーの半数以上が60歳以上だったことが労働組合の調査で明らかになった。
労働組合の団体「全労連」がおよそ5800人を対象に行った調査によると、訪問介護で働く人の半分以上を占める「登録ヘルパー」の平均年齢が7年前の前回調査から3.5歳ひき上がり、58.7歳になった。60歳以上が51パーセントを占めている。
また、施設介護、訪問介護ともに、この1年間で、職場でセクハラを受けた人は、全体の7パーセント以上で、およそ9割は、利用者からのセクハラだという。6割から8割で相談しても改善されなかったという。
全労連は、深刻な実態が浮き彫りになり、労働者の処遇改善や介護制度の見直しが必要だとしている。
□介護労働者の半数、健康に不安 – 全労連調査、やりがいあっても「やめたい」の声も
4/23(火) 13:30配信 医療介護CBニュース
介護労働者の半数、健康に不安 – 全労連調査、やりがいあっても「やめたい」の声も
日本医労連の米沢中央執行委員(左)と全労連の岩橋祐治副議長
全国労働組合総連合(全労連)は22日に記者会見を開き、介護労働実態調査の結果を発表した。それによると、回答者の44.9%が現在「健康に不安」を感じており、5.0%は「病気がち」であるとした。また、仕事に対して65.3%が「やりがいがある」と回答する一方で、「もうやめたいと思うこと」が「ある」とする割合は64.5%だった。全労連の介護・ヘルパーネットワークの世話人を務める日本医療労働組合連合会の米沢哲中央執行委員は「労働条件と介護の質は表裏一体であることを理解してもらいたい」と訴え、調査結果を基に介護施設の人員配置基準の引き上げと介護報酬上の担保を求めた。【吉木ちひろ】
調査は2018年10月1日から19年1月31日にかけて実施し、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、通所介護事業所、居宅介護支援事業所の現場労働者3920人から回答を得た。調査結果は19年の春闘での労働環境改善要求交渉などにつなげる。回答者の男女別では女性が74.1%、男性が24.7%、無回答が1.3%で、平均年齢は44.8歳。
職員の定着に関わる質問のうち、「介護の仕事をする中で感じる不安」(3つまで回答)では、「健康面」との回答が最も多く(52.9%)、以下は「将来の生活」(51.6%)、「ケア事故」(30.2%)、「現在の生活」(25.4%)、「介護制度が不安定」(21.0%)などと続いた。健康問題に関連して、現在の体調について「当てはまる」とした回答が多かった症状(複数回答)は、「腰痛」と「肩こり」(共に53.1%)、「倦怠感」(31.3%)、「頭痛」(28.4%)などの順だった。
仕事をやめたいと思うことがあるかについては、「いつも」が10.8%、「ときどき」が53.7%、「思わない」が28.1%、「わからない」が7.4%だった。「いつも」または「ときどき」の回答者を対象とした「仕事をやめたい理由」(3つまで回答)では、「仕事がつらい・忙しすぎる・体力が続かない」55.9%、「賃金が安い」39.9%、「仕事の達成感・やりがいがない」21.6%などの順で多かった。一方で、仕事のやりがいについては回答者全体で65.3%が「やりがいがある」とした。「そうは思わない」は12.4%、「わからない」は22.3%だった。
米沢氏は介護業界の人材不足や労働環境の悪化を招いている要因について、「人手不足と体制不足の違いというものを認識いただきたい」と述べ、国に対して外国人人材の確保策などとは別に、現状では事業者の持ち出しで取り組まれている法定以上の人員配置について、介護報酬での評価反映などに向けて働き掛けたい考えを示した。
CBnews
□介護労働 処遇改善早く 全労連実態調査 低賃金・高齢化が深刻
しんぶん赤旗 2019年4月23日
全労連介護・ヘルパーネットは22日、「介護労働実態調査」の結果を発表しました。正規職員の平均賃金は全産業平均より8万円も低く、国の「処遇改善」策についても「十分だと思わない」が7割に上っています。
調査は2018年10月から19年1月末までに、施設介護労働者3920人、訪問介護労働者1897人から回答を得たもの。
20代の労働者は施設介護で10・9%、訪問介護で1%。平均年齢は、施設介護が44・8歳、訪問介護が55・5歳。「登録ヘルパー」は51%が60歳以上で高齢化が深刻です。
正規職員の平均賃金は施設介護が22・6万円、訪問介護が22・3万円です。
勤続10年以上の介護福祉士の賃上げなど国の「処遇改善」について、「十分だと思わない」は施設介護で74・1%、訪問介護で67・9%。「十分だ」(施設4・9%、訪問3・5%)を大きく上回りました。
施設介護労働者の64・5%が「仕事をやめたいと思うことがある」と回答。「仕事がつらい・忙しすぎる・体力が続かない」「賃金が安い」などを理由にあげています。
この1年間にパワハラを受けた人は施設介護で14・5%、セクハラを受けた人は7・4%。訪問介護はそれぞれ9・1%、7・7%でした。
日本医労連の米沢哲中央執行委員は「低い配置基準が『休みが取れない』『十分なサービスができない』などの事態を引き起こしている」と指摘。全労連の岩橋祐治副議長は、「賃上げや配置基準の引き上げなど、早急な処遇改善と介護制度の見直しが必要だ」と訴えました。
【関連情報】
□情報資料室 – 全労連介護労働実態調査結果(2019年4月26日)
□日本医労連 2018年介護施設実態調査結果を各種調査結果