□男性の自殺を過労死認定 19日間に及ぶ連続勤務も[テレ朝 2019/04/19 00:07]
大手ゼネコン「鹿島建設」から東京・千代田区の旧グランドプリンスホテル赤坂の跡地の再開発工事を請け負っていた52歳の男性が過労死と認められました。
遺族によりますと、東京都内にある厨房(ちゅうぼう)機器メーカーの当時52歳の男性は鹿島建設から旧グランドプリンスホテル赤坂の跡地に建てられる商業施設の工事を請け負っていましたが、2016年5月に自宅近くで自殺しました。男性は厨房設備の設置業務を1人で任されていましたが、亡くなる直前には作業の遅れが生じていて、19日間に及ぶ連続勤務もあったということです。死亡直前の時間外労働は1カ月で約108時間に上り、自殺前には精神障害を発症していたとして、労働基準監督署が過労死と認めました。鹿島建設は「協力会社との協働による現場の就労環境の改善に取り組んで参ります」とコメントしています。
□弁護士ドットコム労働下請け社員の「過労自死」を認定、残業108時間 元請けのパワハラ疑惑も追及へ
2019年04月18日 17時13分
下請け社員の「過労自死」を認定、残業108時間 元請けのパワハラ疑惑も追及へ 川人弁護士(左)と永田弁護士
ホテルの厨房設備工事にかかわっていた都内の男性(当時52)が2016年5月に自殺したのは、長時間労働にともなう精神疾患が原因だったとして、渋谷労働基準監督署が労災認定していたことが4月18日にわかった。認定は3月25日付。
遺族の代理人が厚労省で記者会見を開き、明らかにした。
男性は、一次下請け企業の現場担当者で、元請け企業からの突き上げと、人員増などの対応を取らない自社との板挟みにあっていたとみられる。
代理人の川人博弁護士は、勤務先や元請け企業に対し、未払い残業代やパワハラの有無についても話し合う方針だと話した。
●労働時間、会社の申告と大きく食い違う
男性は、厨房設備の設置工事などを扱うタニコー(東京都品川区)に入社し、約26年勤務していた。
同社は、大手ゼネコン「鹿島建設」の一次下請けとして、旧・赤坂プリンスホテル跡地に開業したホテル「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」(2016年7月開業)の厨房工事を担当。男性が現場責任者だった。
納期に遅れが生じていたことから、会社側に「無理です」など助けを求めても、具体的なサポートを受けられなかったという。一方で、鹿島建設の担当者からのプレッシャーにさらされていた。
労基署は亡くなる前の4月ごろに男性がうつ病を発症したと判断。その直前1カ月の残業時間を108時間30分、2カ月前を98時間と認定した。
遺族側は、労災申請時にも記者会見を開いている。勤務先のタニコーはそのとき、取材に対し「長時間労働はなかったと考えている」とコメントしていた。
しかし、労災申請にあたって同社が申告した男性の賃金は、労基署の認定額より1日4000円ほど低かったという。遺族側は未払い残業代の支払いについて、今後会社と交渉する方針だ。
労災認定を受けて、タニコーは「弊社だけでは把握が難しかった部分(出先の労働時間)についても総合的に判断されたのだと思う。真摯に受け止めたい」とコメント。労働時間の把握に向けて、システムの強化などに努めているという。
●元請けからの突き上げ
遺族側は、元請けの鹿島建設から、厳しい突き上げがあったと主張していたが、今回の労災申請は、労働時間だけで認定がくだる案件だったため、労基署はパワハラの有無を判断しなかった。
遺族側は、報道陣に男性のLINEの内容を公開。亡くなった当日には、鹿島建設の担当者から「何でかってに空けてるの?何回もかけてんだから折り返せよ」という連絡が入っていた。
代理人提供
男性の営業日誌には「対策案を出すも罵倒されて却下」と鹿島建設の対応についての記述もあるという。
代理人の永田亮弁護士は、「業務のことなので、仕方がないと言えば、仕方がないのかもしれませんが、上からの強気な発言が記録としては残っている。板挟みの中でつらい思いをしたのだと思う」と話した。
遺族側は今後、パワハラがなかったかについても鹿島建設と話し合う予定で、「真相を究明したい」としている。
鹿島建設は、「引き続き、協力会社との協働による現場の就労環境の改善に取り組んでまいります」とコメントした。
(弁護士ドットコムニュース)
□過労死 遺族が労災申請 赤プリ再開発で残業127時間
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毎日新聞2018年7月20日 19時21分(最終更新 7月20日 19時21分)
東京都千代田区にあった旧グランドプリンスホテル赤坂(通称・赤プリ)の跡地の再開発工事に関わった厨房(ちゅうぼう)機器メーカーの男性社員(当時52歳)が自殺したのは、長時間労働やパワハラが原因として、遺族が20日、渋谷労働基準監督署に労災を申請した。発症前1カ月の残業時間は127時間に上ったとしている。
記者会見した遺族代理人の川人博弁護士によると、男性は厨房機器メーカー「タニコー」(品川区)の社員で…
□弁護士ドットコム労働「東京五輪で労働者の犠牲許されない」有名ホテル開業の影で、男性の「過労自死」申請
2018年07月20日 17時44分
「東京五輪で労働者の犠牲許されない」有名ホテル開業の影で、男性の「過労自死」申請
「東京五輪で労働者の犠牲許されない」有名ホテル開業の影で、男性の「過労自死」申請 川人博弁護士(左)ら
旧・赤坂プリンスホテル跡地に、2016年7月に開業したホテル「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」(東京都千代田区)の厨房設備工事にかかわっていた都内の男性(当時52)が同年5月に自殺したのは、過労が原因だったとして、長野市に住む母親(80代)が7月20日、渋谷労働基準監督署に労災申請を行った。
遺族側は男性の営業日報などから、亡くなる前の3カ月間は平均月100時間以上の残業があったと計算。納期をめぐる元請け企業からのプレッシャーなどもあいまって、精神障害を発病していたと主張している。
遺族側が主張する、発病前3カ月の残業時間は、直前1カ月が127時間35分、同2カ月117時間45分、同3カ月90時間20分。遺族側の主張が認められれば、労災認定が通る可能性が高い。
2020年の東京五輪・パラリンピックなど観光需要の高まりに合わせ、現在、東京など主要都市ではホテルなどの建設ラッシュが起きている。政府としても後押しする立場だ(観光立国推進基本法、観光立国推進基本計画など)。
申請後の記者会見で、遺族側代理人の川人博弁護士は「観光立国を目指す国策の結果として、労働者が犠牲になるようなことがあってはならない」と警鐘を鳴らした。
●現場責任者として板挟みに? 建設現場の構造問題指摘
男性は大学卒業後、厨房設備の設置工事などを扱うタニコー(東京都品川区)に入社し、約26年勤務していた。
同社は、大手ゼネコン「鹿島建設」の一次下請けとして、「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」の厨房工事を担当。男性が現場責任者として、業務に当たっていたという。
同ホテルを担当するようになって、男性の残業時間は急増。納期に遅れが生じていたことから、鹿島建設の担当者からのプレッシャーもあったようだ。
男性は生前、会社の上司や同僚に「無理です」など助けを求めていたが、川人弁護士によると会社からのサポートは得られなかったという。
「現場監督は板挟み。二次請け、三次請けを指導しないといけないし、ゼネコンは一次請けに強く言う。こうした環境で精神的孤立を深めるに至ったことは想像に難くない」(川人弁護士)
●母への遺書「今日最大の苦しみを味あわせてしまう事、お許し下さい」
男性の遺書には、母に宛てて、「苦しい思いばかりさせ、今日最大の苦しみを味あわせてしまう事、お許し下さい」などと書かれていたという。
記者会見に際し、男性の母らは、「今後、被災者と同じように、過労で命を落とすような人を出したくないと強く感じています」などとのコメントを寄せた。
タニコーの担当者は「男性が亡くなったことは残念で、必要があれば調査には協力する。ただ、残業時間の解釈について遺族側とは見解の違いがあり、長時間労働はなかったと考えている」。鹿島建設は「詳細がわからないので、現時点でコメントはいたしかねる」としている。
(弁護士ドットコムニュース)