10連休の影 「日雇い労働者 仕事なく」「保育園 定員超過」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019050802000148.html
東京新聞 2019年5月8日 朝刊
天皇代替わりに伴う十連休で、暮らしの支えが危うくなり、乗り切るのに苦労した人たちがいる。簡易宿泊所が集まり、東京都台東、荒川両区にまたがる山谷地区では仕事がなくなり、無収入に陥った人もいた。
東京・山谷日雇労働組合によると、ハローワークや生活支援する都の外郭団体が閉まり、居場所を失い、歩き回って時間をつぶす人もいたという。山崎弘委員長(62)は「金があれば遊びに行けるが、日雇い労働者や非正規社員は仕事がなく大変だった」と訴えた。
七日、ハローワークであっせんされた掃除を終えた男性(31)は、約二週間ぶりに収入を得た。連休中は浅草の漫画喫茶や野宿でカップラーメンを食べて過ごした。「漫画喫茶はいすのブースで、ちゃんと寝たかった。十連休でなければ、もう少しまともに過ごせたかもしれない」と話した。
一方、連休中も働く保護者のため、東京都大田区は二カ所の保育園で計二十人を預かる休日保育制度で対応した。対象は区内百九十カ所の認可保育所などに通う一万五千人と多く、キャンセル待ちが出た。「例年の大型連休では考えられない事態」と区の担当者。四十八ある区立認可保育園のうち、五園で特別休日保育を実施した世田谷区でも、計約五十人の定員をオーバー。普段と違う園のため、食事のアレルギー対応が難しく、保護者は弁当を持参した。区の担当者は「無事に終えられて良かった」と胸をなで下ろした。
医療機関も休みが多かったが、東京消防庁によると十連休中の救急隊の出動は二万七百七十八件、搬送人員は一万八千五百人(いずれも速報値)で、昨年よりやや少なかった。