横浜市教委 教職員勤務時間 初めて調査 中学3割が過労死ライン越え(5/12)
□昨年度「過労死ライン」超え教職員 中学校32%、小学校8% 横浜市教委
東京新聞 2019年5月12日
横浜市教育委員会は、2018年度に時間外労働が「過労死ライン」とされる月80時間を超えた教職員の割合は、中学校で32.8%、小学校で8.1%、特別支援学校で1.2%だったと発表した。市教委は昨年3月、80時間超の教職員をゼロにするという目標を掲げた「働き方改革プラン」をまとめたが、厳しい現状が浮かび上がった。
各校の校長、副校長、教諭ら全教職員にICカードを配り日々の出退勤時間を記録してもらい、月ごとに80時間超の人数や割合を出し、年間の平均値を算出した。これまで一部の学校で特定期間の勤務状況を調べたことはあったが、全校の通年の調査は初めて。
中学校が小学校などより深刻なのは年間を通じた傾向だった。中でも4月は45%もの教職員が80時間を超える時間外労働をしていた。5、6、10月も40%を超え、7、9、11、3月は30%を超えた。10%を切ったのは長期休暇のある8月だけ。それでも4.8%が80時間超だった。
小学校は4〜6月と10月に10%を超え、10月の15.7%が最多だった。一方、8月は0.1%と、ほぼゼロだった。特別支援学校は4月の2.4%が最多だった。
市教委は「勤務時間を客観的に把握できたのは働き方改革の第一歩。ただ、非常に厳しい実態が分かったので、プランに盛り込んだ対策を着実に実行して少しでも改善したい」とした。
(加藤益丈)
□横浜市教委 教職員状況 時間外80時間超、中学で3割 目標達成ほど遠く…
横浜市教育委員会
神奈川新聞 2019年05月11日 05:10
〔図〕2018年度の時間外勤務が月80時間超の教職員の割合
横浜市教育委員会は10日、「市立学校教職員の働き方改革プラン」の2018年度の取り組み状況を公表した。過労死ラインとされる「月80時間超の時間外勤務」の教職員をゼロにするとの目標を掲げるが、18年度は中学校で3人に1人が80時間を超え、目標達成にはほど遠い実態が浮き彫りになった。
時間外勤務が月80時間を超えた教職員の割合は、中学校が32・8%、小学校が8・1%、特別支援学校が1・2%だった。群を抜いていた中学校での要因は部活動の指導とみられる。
仕事の量的負担と仕事のコントロールをクロス集計した「健康リスク・負担感指数」は109。全国平均を100とし、数値が高いほど健康障害を引き起こす危険性が高まるとされる。横浜の場合、16年度から3年連続で同じ数値で、「100未満」との目標値に近づかなかった。
「全員10日以上」を目指す年休取得率は73・7%。平均14・9日だったが、長期休業以外の月は取得が進まなかった。
午後7時までに退勤する割合は小学校が68・1%、中学校が69・0%、特別支援学校が87・6%。全体の平均値は69・7%で、プランで定めた「70%以上」との目標に届かなかった。さらに市教委が取り組み状況を報告した10日の市教委定例会で、委員から「仕事を持ち帰る教員も多いのでは」との指摘も上がった。
市教委は18年3月、プランを策定。ICカードによる勤務実態把握などを始めた。19年度はICT(情報通信技術)を活用した業務改善支援、職員室業務アシスタントや部活動指導員の拡充などに取り組む。
「改革」実感できない
横浜市教育委員会が、教職員の働き方改革に取り組んで1年余り。だが市立中学校で働く30代の男性教諭は、現場の実態は何も変わっていないと打ち明け、訴える。「改革といっても現場の判断に委ねられている。一定の強制力がなければ、実現は不可能だ」
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