勤労統計不正をめぐる予備調査結果、実質賃金0.4%マイナス(8/5)
□毎月勤労統計、15年ぶり正常化 東京都分を「全数調査」に 前年比較は難しく
朝日新聞デジタル 2019年8月7日05時00分
賃金や労働時間などの動向を示す「毎月勤労統計」の不正調査問題で、厚生労働省は6日公表の6月分の速報値から、2004年以降続いていたルール違反を約15年ぶりに改め、調査方法を正常化させた。ただ、「前年同月比」の数値は、違反状態のデータとの比較が今後も1年続くことになる。
国の基幹統計の一つである毎…
□統計不正 「本来ルール」と「問題の手法」 比較すると…
2019年8月6日 14時04分
不正な調査手法が問題となった賃金や労働時間の調査。厚生労働省は本来のルールに改めてから初めてとなる調査結果を公表しました。
それによりますとことし6月の給与総額は去年の同じ月を上回り、問題となった手法で調査した場合よりも高くなったことが分かりました。
「本来ルール」では約1000円高く
厚生労働省が全国のおよそ3万1000の事業所を対象に行った「毎月勤労統計調査」の速報値によりますと、ことし6月の給与総額は基本給やボーナス、それに残業代などをあわせた働く人1人あたりの平均で45万1918円でした。
これは去年の同じ月を0.4%上回り、去年12月以来6か月ぶりにプラスになっています。
一方、物価の変動分を反映した実質賃金は去年を0.5%下回りました。
この調査をめぐっては、従業員500人以上の大規模な事業所についてすべて調査することになっているにも関わらず平成16年以降、都内で3分の1を抽出する不正が行われていたことが分かり、今回の調査から本来のルールに改められました。
厚生労働省によりますと問題となった大規模事業所を抽出する手法で調査した場合と比べると、給与総額はおよそ1000円高くなったということです。
厚生労働省は「抽出調査では賃金の高い大規模事業所が対象から外れていたため、すべてを調査したことで給与総額が高くなったとみられる。今後も調査を続けて推移をみていきたい」としています。
“全数調査”と“抽出調査” 比較すると…
今回の調査では本来のルールにのっとって大規模事業所を全数調査した結果とは別に、東京にある大規模事業所のうち3分の1ほどを抽出する手法で調査した場合の結果も参考として公表されました。
2つの調査結果を詳しく比較してみます。
まず、調査対象となる事業所の数は▽大規模事業所を全数調査した場合、中小も含めて3万955。一方、▽抽出調査では824少ない3万131でした。
基本給やボーナス、それに残業代などをあわせたことし6月の給与総額は、全数調査では働く人1人あたりの平均で45万1918円で、去年の同じ月を0.4%上回りました。
このうち▽基本給など決まって支給される給与は26万6089円で去年の同じ月と同じ水準に、▽ボーナスなど特別に支払われた給与は18万5829円で0.9%上回っています。
一方、抽出調査では給与総額は45万934円で、全数調査と比べて984円低くなり、去年の同じ月と比べて0.1%の増加にとどまっています。
また、このうち▽決まって支給される給与は26万5588円(前年同月比マイナス0.2%)▽特別に支払われた給与は18万5346円で(前年同月比プラス0.6%)、いずれも本来のルールどおり大規模事業所をすべて調査した場合と比べて金額が低くなっています。
今回の調査結果は速報値のため、報告が遅れている事業所などのデータを加えた最終的な結果は数値が変動する可能性があります。
今回の結果について厚生労働省は、「抽出調査では例年1月に対象となる大規模事業所を入れ替えていて、ことし1月の入れ替えで給与の高い事業所が対象から外れたため、給与総額が先月まで5か月連続で去年の同じ月と比べてマイナスになっていた。しかし、今回から全数調査になったことで、給与が高い事業所が再び対象に含まれ、抽出調査より高い数値になったと考えられる」としています。
(1月:ー0.6、2月:ー0.7、3月:ー1.3、4月:ー0.3、5月:ー0.5)
□18年の実質賃金、0.4%のマイナス 衆院調査局
日経新聞 2019/8/5 21:35
厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題を巡り、衆議院調査局は5日、実質賃金に関する「予備的調査」の結果を公表した。同一事業所のみを比較した2018年の実質賃金は17年と比べ0.4%のマイナスだった。厚労省は全事業所を対象とした実質賃金を0.2%増と公表していた。
毎月勤労統計は1人あたりの平均給与や労働時間などを調べる。厚労省は同一事業所のみで実質賃金を示すことの可否について有識者からなる検討会で議論を続けている。厚労省の担当官は「統計ユーザーの立場からの試算と認識しており、コメントは差し控えたい」としている。
予備的調査は委員会審議の「下調査」として、衆院議員が衆院調査局に要求できる制度。立憲民主党など野党5党派が5月、同一事業所のみを比較した実質賃金を算出するよう求めていた。
□実質賃金マイナス裏付け 衆院調査局の「予備的調査」結果
しんぶん赤旗 2019年8月6日(火)
衆院調査局は5日、厚生労働省の毎月勤労統計調査のうち2018年の実質賃金の対前年比の変化率がマイナス0・3〜0・4%だったとする調査結果を明らかにしました。これまで同省は共通事業所の実質賃金の変動を明らかにしてきませんでしたが、調査結果は、総務省の西村清彦統計委員長も「実感に一番近いもの」だと認める共通事業所での伸び率をみたもの。実質賃金はマイナスだとの野党側の主張を裏付けています。
今回の調査は、野党が5月に「衆議院規則」に基づいて衆院に「予備的調査」を要求したのに応じて実行されたもの。明らかにされた調査結果は、10月に予定されている消費税率10%への増税の是非を国会審議などで議論するために不可欠な景気動向の評価に関わる重要な情報です。
調査結果を受けて、同日、国会内で野党合同ヒアリングが開かれました。厚労省の担当者は調査局の調査結果について、「有識者検討会を設けて議論をしている」「統計をつくる側としては、コメントを差し控えたい」と発言。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は「政府は、野党が試算した実質賃金の変化率がマイナスということを、トレンド(傾向)としては認めると答弁してきた。今、機械的な試算としての数字がでてきたのだから、結果を素直に認めるべきだ」と主張しました。
□実質賃金伸び率 野党側の方法ではマイナス 衆議院
NHK News 2019年8月5日 20時57分
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」をめぐり、衆議院が野党側から求められた方法で去年の実質賃金の伸び率を算出したところ、マイナス0.4%と厚生労働省が公表している値より低くなりました。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」では、去年の実質賃金の伸び率は、前の年と比べプラス0.2%でしたが、調査対象となる事業所の入れ替えが行われたことから野党5党派は前の年も調査対象となった「共通事業所」と呼ばれる事業所だけで算出するよう衆議院規則に基づいて、衆議院に求めていました。
これを受けて衆議院調査局は、5日開かれた野党側の会合で、求められた方法で算出した結果を示しました。
それによりますと、去年の実質賃金の伸び率は、マイナス0.4%と、厚生労働省が公表している値より0.6ポイント低くなりました。
この結果は野党側が独自に試算した数値とほぼ同じで、出席した議員からは「想定通りの数字で、厚生労働省も認めるべきだ」とか「アベノミクスの成果を偽装している」などの意見が出され、今後も政府を追及していくことを確認しました。
□統計不正 本来ルール改め初の調査結果 給与総額は増加
NHK News 2019年8月6日 8時40分
不正な調査手法が問題となった賃金や労働時間の調査について、厚生労働省は本来のルールに改めてから初めてとなる調査結果を公表しました。それによりますと、ことし6月の給与総額は去年の同じ月を上回り、問題となった手法で調査した場合よりも高くなったことが分かりました。
厚生労働省が全国のおよそ3万1000の事業所を対象に行った「毎月勤労統計調査」の速報値によりますと、ことし6月の給与総額は基本給やボーナス、それに残業代などを合わせた働く人1人当たりの平均で45万1918円でした。
これは去年の同じ月を0.4%上回り、去年12月以来6か月ぶりにプラスになっています。
一方、物価の変動分を反映した実質賃金は去年を0.5%下回りました。
この調査をめぐっては、従業員500人以上の大規模な事業所についてすべて調査することになっているにもかかわらず、平成16年以降、都内で3分の1を抽出する不正が行われていたことが分かり、今回の調査から本来のルールに改められました。
厚生労働省によりますと問題となった大規模事業所を抽出する手法で調査した場合と比べると、給与総額はおよそ1000円高くなったということです。
厚生労働省は「抽出調査では賃金の高い大規模事業所が対象から外れていたため、すべてを調査したことで給与総額が高くなったとみられる。今後も調査を続けて推移をみていきたい」としています。