□タイムカードは「8時ー17時」なのに過労死、本当は「月213時間」残業 労災認定
弁護士ドットコム 2019年08月06日 17時15分
〔写真〕会見する代理人・原島有史弁護士(左)と川人博弁護士(弁護士ドットコム撮影、8月6日)
建設会社で働いていた男性(当時46)が2018年5月、くも膜下出血で亡くなったのは、長時間労働が原因だったとして、厚木労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。認定は7月29日付。遺族と代理人らが8月6日、東京・霞が関の厚生労働省で会見を開き、明らかにした。
男性の妻は「家族を大切にする会社と社内報でうたわれていたと記憶していますが、過酷な仕事のために主人を失ったことで、社員も家族も大切にはされていないと実感しています」と語った。
●代理人がパソコンのログ記録や業務用携帯の履歴など調査
代理人らによると、男性は1990年4月、道路建設などをおこなう福田道路(本社・新潟市)に総合職として入社。2005年5月から、神奈川県内の営業所で工事現場の監督のほか、営業所全体の管理・監督などの社内業務をおこなっていたという。
男性は2018年5月25日、業務中にコンビニから出てきたところの路上で突然倒れ、病院に救急搬送されたが、そのまま意識は戻らず、5日後の5月30日に亡くなった。
タイムカード上、男性の勤務時間は8時から17時となっていた。しかし、代理人が、男性の社用パソコンのログ記録や業務用携帯の履歴などを調べたところ、亡くなる前6カ月の間で、最大約213時間、平均で月約144時間の時間外労働がおこなわれていたことがわかったという。
労基署は、発症前の3カ月から6カ月平均の時間外労働時間について「いずれも認定基準の平均80時間を超えている」として、男性の死亡が業務に起因するものだと認定した。
男性の妻は「早出、残業が毎日のように続いていたのに、規定の勤務時間8時から17時で勤務表を提出しなければならなかったことは理解できない」とした。
●男性は「管理監督者」に該当せず 未払い残業代も
代理人の川人博弁護士によると、厚木労基署は、男性が「管理監督者」にはあたらないとし、未払い残業代があることも認めた。今後は未払い残業代の支払いも含めて、会社と話し合いをする方針だという。
福田道路の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に、次のようにコメントした。
「ご遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます。労災認定がされたこと、今回の事態を防ぐことができなかったことを重く受け止めております。長時間労働や休日出勤を防ぎ、これまで以上に再発防止に努めたい」
道路工事会社 社員を過労死認定 「土日出勤も休んだことに」
NHK News 2019年8月6日 17時37分
新潟市に本社がある道路工事会社の46歳の男性社員が、去年勤務中に倒れて死亡し、労働基準監督署が長時間労働が原因だったとして労災認定していたことが分かりました。
労災が認められたのは、新潟市に本社がある道路工事会社、「福田道路」の神奈川県内の営業所に勤めていた46歳の男性です。
男性は、現場監督や業務管理を担っていましたが、去年5月に勤務中に倒れ、くも膜下出血で死亡しました。
遺族と代理人によりますと、会社の出勤簿では毎日午前8時に出勤し午後5時に退勤したと記録されていましたが、遺族の申請を受けて労働基準監督署が調べた結果、男性が倒れる前の半年間に、ひと月当たりの残業時間が平均で80時間を超えていたことが分かりました。
このため監督署は長時間労働が原因で過労死したとして、先月労災認定しました。
男性の妻は「早出や残業が毎日のように続いていたのに、規定の時間で勤務表を提出し、土日に出勤しても休んだことにしなければならなかったことは理解ができない。せめて正確な勤務表を提出できる環境であってほしかった」と話しています。
一方、福田道路は「労災を防ぐことができなかったことを厳粛に受け止め、長時間労働や休日出勤の抑制への取り組みを強化し、再発防止に努める」とコメントしています。