過労死ライン近い36協定ひな型を修正 遺族ら抗議受け (8/24)

過労死ライン近い36協定ひな型を修正 遺族ら抗議受け
https://www.asahi.com/articles/ASM8R6S13M8RPIHB02H.html
朝日新聞デジタル 岩田恵実、阪本輝昭 2019年8月24日15時00分

〔写真・図版〕修正前の36協定の「ひな型」。業務内容によっては1カ月の残業時間の上限を過労死ラインに近い「90時間」としている

 厚生労働省が作成した残業時間に関する労使間協定(36協定)の「ひな型」に、過労死認定基準(過労死ライン)に近い残業時間が例示されていた問題で、同省は23日、残業時間の上限を短くした修正版を公表した。

 ひな型は、時間外労働時間(残業)に初めて罰則付きの上限を設けた働き方改革関連法(今年4月施行)の成立を受けて同省が作成。修正前は、臨時的な特別の事情が生じた場合、業務内容により、従業員を最長で月90時間(年6回まで)または同80時間(年4回まで)まで残業させられるとする内容だった。

 過労死遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」は、記載例は法規制の枠内だが、過労死認定基準(1カ月で100時間、2〜6カ月の平均で月80時間)に近く、長時間労働を容認するものだと批判。同省に対し、7月に文書で見直しを求めていた。

 修正版では、残業の上限を月60時間(年4〜3回まで)または同55時間(年3回まで)とし、当初の記載例より月30〜25時間短くした。同省の担当者は「当初はわかりやすいよう法の上限に近い時間を記載したが、意見を受けて見直した」と説明した。

 「家族の会」代表の寺西笑子さん(70)=京都市=は「過労死防止の大前提は長時間労働の是正。経営者や労働組合の意識改革につながるような取り組みをさらに求めたい」と話した。

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