過労死: 厚労省でシンポ 遺族ら防止対策の重要性訴え

毎日新聞 2014年11月15日

 過労死等防止対策推進法(過労死防止法)の施行(今月1日)に伴い、国が主催する初めてのシンポジウムが14日、厚生労働省で開かれ、遺族らが過労死防止の重要性を訴えた。同法で11月は「防止啓発月間」と定められており、各地で集会などが開かれている。

 塩崎恭久厚労相は「働くことで命を失ったり、健康を損なうことはあってはならない」とあいさつ。長年この問題に取り組んできた川人(かわひと)博弁護士が基調講演で「過労自殺の労災認定は氷山の一角」などと話した。

 続いて、過労死被害者の家族らで作る「全国過労死を考える家族の会」のメンバーらも登壇し体験を語った。寺西笑子(えみこ)代表は「過労死は若者にまで広がっている。あってはならない過労死を防ぐにはどうすればよいか一緒に考えてほしい」と根絶を訴えた。

 同法は、国に過労死防止の施策の策定・実施、地方公共団体にも協力する責務を課している。事業主には防止策への協力を求めている。【東海林智】

 ◇シンポジウムで登壇した遺族の発言(発言者 被害者 職業 発言内容の順、年齢は当時)

寺西笑子さん 夫(49)外食産業 年間4000時間以上働き自殺。教訓を過労死対策に

安井敏一さん 息子(35)営業 1日15時間労働が常態化。働く者の命を何より大切に

内野博子さん 夫(30)自動車製造 疲労蓄積、職場で倒れる。人間はロボット・歯車でない

古川三恵子さん 息子(24)外食産業 長時間労働とパワハラ。若者の過労自殺が増えている

西垣迪世さん 息子(27)SE 月150時間超の残業。国の隅々まで法に実効性持たせて

尾崎正典さん 姉(48)教員 危険はごく身近にある。実効性のある法の運用を

中野淑子さん 夫(52)教員 寝る間もない忙しさで死亡。防止対策はようやくスタート

中原のり子さん  夫(44)医師 医師が減り過重労働。国民を守る国の責務果たして

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