□社会保障の負担増に踏み込むか 「全世代型」の議論開始
朝日新聞デジタル 山本恭介、高橋末菜 及川綾子、西村圭史 2019年9月21日07時00分
〔写真・図版〕全世代型社会保障検討会議であいさつする安倍晋三首相(左から2人目)=2019年9月20日午後3時20分、首相官邸、岩下毅撮影
少子高齢化の時代に合わせた「全世代型社会保障」のあり方を検討するための議論を、安倍政権が20日にスタートさせた。高齢者らの就労を促し、「支え手」を増やすことを重視する。一方、さらなる消費増税には距離を置き、国民の負担増や給付カットなど「痛み」を伴う改革には慎重さも。若い世代も安心できる、実効性ある全体像を示せるかは不透明だ。
首相官邸であった「全世代型社会保障検討会議」の終了時。議長の安倍晋三首相は強調した。「安倍政権にとって、全世代型社会保障への改革は最大のチャレンジ。社会保障システムの改善にとどまらず、システム自体の改革を進めていく」
政権が社会保障改革に動き出したのは、人口の多い「団塊の世代」が75歳以上になり始める2022年から、年金・医療・介護など社会保障給付費の増加が加速すると見込むからだ。
18年度は約121兆円(GDP比21・5%)だったが、団塊の世代が全員75歳以上になる25年度には約141兆円(同21・8%)、65歳以上人口がほぼピークの40年度には約190兆円(同24・0%)に膨らみ、財政圧迫の最大の要因となる。
検討会議の事務局は、会議の役割は「一段高い目線からの改革の基本方針」を決めることだと説明する。会議で全体の方向性を示し、厚生労働省や内閣府などの審議会には、検討会議や与党の議論をにらみながら具体的な改革案を検討してもらう。首相周辺は「官邸主導なら、今まで決められなかったことを決められる」と意気込む。年末までに中間報告、来年夏までに最終報告をまとめる。
ただ、強気の発言とは裏腹に、首相が初会合で掲げた検討項目は、70歳までの就労機会の確保や、年金の受給開始時期を70歳超も選べるようにすることなど。いずれも、すでに政府内で方向性が決まっている高齢者らの就労促進策だった。
複数の政府関係者によると、年…
「全世代型社会保障」 高齢者就労促進や年金見直しを先行議論
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190921/k10012092801000.html?utm_int=news-new_contents_latest_005
NHK News 2019年9月21日 9時27分
全世代型社会保障の実現に向けて、政府の検討会議は、制度の支え手を増やすための高齢者の就労促進や、これに伴う年金制度の見直しなどを先行して議論し、具体策を年末の中間報告に盛り込むことにしています。
政府の「全世代型社会保障検討会議」は20日、初会合を開き、社会保障制度全般にわたる改革の議論をスタートさせました。
少子高齢化で生産年齢人口が減る中、制度の支え手を増やす取り組みが重要だという意見が相次ぎ、当面は、
▽高齢者の70歳までの就労促進、
▽これに伴う年金の受給開始年齢の選択肢の拡大、▽健康寿命を延ばすための病気の予防、などを先行して議論していくことになりました。
検討会議は、年内にまとめる中間報告に具体策を盛り込み、来年度予算案に反映させるとともに、来年の通常国会で必要な法整備を図る考えです。
一方、20日の会合では、社会保障費が膨らむ中、給付と負担の見直しは避けられないという指摘も出されました。
給付と負担の見直しの議論が本格化するのは年明けからになる見通しで、財政のみの視点に偏らないよう、中長期的な医療・介護の提供体制を総合的に議論し、来年夏の最終報告までに一定の結論をまとめることにしています。