福岡県立大職員労災、逆転認定 自殺は「長時間労働が原因」
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2019/10/25 6:00 西日本新聞 社会面 大坪 拓也
2015年3月に自殺した福岡県の男性職員=当時(55)=について、長時間の時間外勤務のため発症したうつ病が原因であるとして、地方公務員災害補償基金県支部の審査会が、労災に当たる公務災害と認める裁決をした。支部は公務災害と認めなかったが、有識者でつくる審査会に遺族が不服申し立てをしていた。24日に県庁で記者会見した遺族側弁護士によると、審査会が判断を覆すのは異例という。
裁決書などによると、男性は14年4月に福岡県立大(田川市)の学務部に配属され、入試や時間割作成などを担当。人員が十分ではない中、うつ病発症直前1カ月の時間外勤務は100時間を超えており、学内で自殺したという。遺族は16年2月に同支部に認定を請求したが、翌17年8月の決定は自殺との因果関係を否定。これを不服として審査会に審査請求した。
審査会は入試業務などで忙しかった、自殺直前の15年2月にうつ病を発症していたと判断。「期限までに執行しなければならず、ミスの許されない多くの業務を担当し、過重な業務を行った」として今年8月、自殺は公務に起因すると認め、支部の不認定処分を取り消した。
男性の妻は「自殺予防を発信する大学が夫を過労自殺に追い込んだことに強い不信感を抱かざるを得ない。真摯(しんし)に再発防止に取り組んでほしい」とのコメントを出した。遺族側は大学の責任を問い、損害賠償請求訴訟も検討している。
福岡県立大は「もっと勤務状況を把握すべきで、業務管理が十分ではなかった」としている。 (大坪拓也)