「違反の恐れ」情報共有 大阪労働局と堺市 最低賃金
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/191203/20191203026.html
大阪日日新聞 2019年12月3日
最低賃金の確実な履行に向け、大阪労働局と堺市は、将来的に違反の恐れがある業者を事前に情報共有する全国初の仕組みを導入した。両者は協定を締結しており、仕組みを周知して違反を防ぐ抑止力にしたい考えだ。同市が発注する業務委託契約の入札で、落札時には違反はなくても、年度途中で最低賃金が上がると守れない可能性があると市が判断した場合、業者名を同局に提供する。
情報共有の協定を締結した大阪労働局(右)と堺市の関係者=大阪市中央区
大阪の最低賃金は年々上昇し、時給964円と全国で3番目に高い。改定後に最低賃金額を下回ってしまう労働者の割合は、中小企業で年々増加傾向にある。
最低賃金の改定は通例秋ごろに行われるが、行政機関では年度初めからの委託業務もある。低価格での落札の場合、年度途中で人件費引き上げに対応しにくい可能性があり、最低賃金を審議する府地方最低賃金審議会は「発注時の特段の配慮」を求めている。
そこで同局は、協力の呼び掛けに応じた堺市と連携。市は、人件費割合の高い業務委託契約の入札を低価格で落札した業者には、最低賃金を守れるかどうか確認調査する。落札時に違法な状態ではなくても、一定基準額を下回っていた場合、同局に事業者の情報を提供。同局は状況を精査し、適切な対応を行う。
協定の締結式は11月28日に、大阪市中央区の大阪合同庁舎で実施。同局担当者は「情報共有の仕組みを周知することで、抑止力につなげたい」と意義を強調した。