セブン、残業手当の一部を長期未払い 4億9000万円
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2019/12/10 11:26日本経済新聞 電子版
〔写真〕セブンイレブンでは、FC加盟店の従業員の給与計算や支払いを本部が代行している
セブンイレブンで働くアルバイトやパート従業員の残業手当の一部が長期にわたって支払われていなかったことが10日分かった。加盟店の従業員の給与計算は本部のセブン―イレブン・ジャパンが代行しているが、計算式を誤っていた。労働基準監督署からの指摘で判明し、遡って調べたところ、1970年代から払っていなかった可能性がある。不足額は少なくとも4億9千万円に達し、セブンは対象者に不足分を払う方針だ。
セブンではフランチャイズチェーン(FC)加盟店が従業員を雇用し、人件費を負担するが、給与の計算や支払いは本部が代行する。今年9月、労基署からの指摘により、セブン本部が時間給で働くバイトやパート従業員が休まずに出勤した場合などに払う「精勤手当」、職務の責任に対して払う「職責手当」から算出する残業手当について労働基準法で定められた計算式を誤っていたことが発覚。2001年10月から本来の金額より少なく支給してきた。
この計算式を導入したきっかけは01年6月に労基署から職責手当や精勤手当に基づく残業手当が支払われていないとの指摘だったが、当時はこの事実を公表せず、現在もそれ以前の未払い分を支給していない。このほかにも加盟店の社員など固定給で働く従業員の残業手当の一部も当時まで支給されていなかった。未払いが始まった時期は詳しくわかっておらず、セブンが創業した70年代からだった可能性もある。
残業手当の未払いの対象は記録が残っている12年3月からだけで全国8千店以上の約3万人の従業員になる。支払い不足額は遅延損害金を含めて約4億9千万円になる。不足分についてはセブン本部が負担する方針だ。同社は従業員らからの問い合わせ窓口を設けるもようだ。
記録のない12年2月以前についても、書類などで確認できれば支払うという。併せて、チェック体制の強化など再発防止策も講じる。