過重労働疑いの県内1017事業所 7割法令違反
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201912/0012982270.shtml
神戸新聞NEXT 2019/12/23 06:00神戸新聞NEXT
兵庫県内の11労働基準監督署が2018年度に、過重労働が疑われる1017事業所を対象に監督指導を実施したところ、74・2%にあたる755事業所で労働基準法などの関係法令に対する違反があったことが、兵庫労働局のまとめで分かった。違反内容では、違法な時間外労働があった431事業所が最多。長時間労働が解消されていない実態が浮き彫りになった。(末永陽子)
長時間労働の相談や情報が寄せられた事業所や、過労死などの労災請求が行われた事業所を中心に調べた結果をまとめた。
違法な時間外労働が判明した431事業所では、労基法36条に基づく労使協定「サブロク(三六)協定」を結ばずに時間外労働をさせたり、協定の上限時間を超えた時間外労働をさせたりしていた。
違法な時間外労働があった431事業所のうち、「過労死ライン」とされる月80時間を超える労働者がいたのは297事業所(68・9%)。また、月100時間を超えたのは184事業所(42・7%)、月150時間超も40事業所(9・3%)に上った。さらに月200時間超も、製造業や接客業などで4事業所あった。
ある飲食店では、最長月134時間の違法な時間外労働や休日労働をしていた従業員1人が脳・心臓疾患を発症し、死亡した。同店は労働時間の自己申告制を採用し、適正な労働時間を把握しておらず、別の従業員には最長月219時間の時間外・休日労働をさせていたという。
また、過重労働による健康障害の防止対策について、141事業所(13・9%)が全く実施していなかった。賃金不払い残業も52事業所(5・1%)に上った。
過重労働による健康障害防止措置が不十分だとして、681事業所に改善を指導した。このうち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したのは409事業所だった。
企業の規模別では、99人以下が868事業所で全体の85・3%を占める。今年4月から働き方改革関連法が順次施行され、来春からは中小企業にも罰則付きの残業時間の上限規制が拡大される。同労働局は「さらに指導に力を入れ、法令順守を徹底させたい」とした。