サムスン、職員の年末調整情報から‘‘進歩団体後援” の数百人を割り出す
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/35349.html
登録:2020-01-02 22:46 修正:2020-01-03 14:40
2013年頃未来戦略室が主導
同意なしで個人情報を不法閲覧
「不穏」分類した環境連合など11カ所に
寄付金出した職員の情報の文書作成
検察、労組瓦解裁判で公開
〔写真〕ソウル瑞草洞のサムスン本館前にサムスンの旗が翻っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社
サムスンが進歩性向の市民団体を「不穏団体」に分類し、系列会社の役職員がこれら団体に対して後援した内容を把握しグループ次元で管理してきた事実が確認された。サムスンは年末調整時に提出する「寄付金控除内訳」から役職員の「不穏団体」後援の有無を把握したが、この作業を主導したのもサムスングループ未来戦略室だった。労組瓦解のコントロールタワーだった未来戦略室が、労働組合員だけでなく一般職員の個人情報まで不法に覗いたわけだ。
労組瓦解裁判で文書明るみに
サムスン物産・重工業・医療院など全方位に渡り
寄付額以外に出身校・学歴まで不法記載
■役職員の寄付金内容まで管理したサムスン
12月25日のハンギョレの取材を総合すれば、2013年頃サムスンは未来戦略室の主導で不穏団体を後援した約20社の系列会社の役職員386人の名簿をまとめ、「不穏団体への寄付金控除内訳結果」等の文書を作成した。サムスンは不穏団体後援の有無を把握するために、役職員の同意なしに、彼らが所得控除を受けるために提出する年末調整資料を無断で閲覧した。サムスンが寄付金内容を調べた系列会社はサムスン重工業、サムスン物産、サムスン生命など。サムスン経済研究所とサムスン医療院も含まれていた。サムスンは不穏団体への寄付金納入事実が確認された役職員の寄付額、職級、最終学歴、最終学校などの個人情報を共に記載して特別管理対象に挙げている。
サムスンが不穏団体に選定したところは環境運動連合、民族問題研究所、我が民族一つ運動本部、韓国女性民友会、統合進歩党など、進歩性向と分類される市民団体および政党の11カ所で、6月民主抗争の聖地である香隣(ヒャンニン)教会も含まれていた。サムスンは保守市民団体の一つである「サイバー浄化市民連帯」が2010年10月に発表したいわゆる「反国家親北朝鮮左派69カ所」の目録を参考にして不穏団体を選定したという。
進歩団体は不穏団体と規定
環境連合から香隣教会まで赤い烙印
極右団体選定の「親北朝鮮左派69カ所」を参考に
サムスンの全方位的な役職員の個人情報閲覧の事実が明るみに出たのは、昨年4月のサムスン電子サービス労組瓦解裁判でのことだった。当時検察は、未来戦略室がサムスン電子サービス協力会社やエバーランドで労組設立の動きを見せる職員らの個人情報を無断で収集した疑い(個人情報保護法違反など)でカン・ギョンフン・サムスン電子副社長などを起訴した状態だった。法廷で検察はこの日、未来戦略室が労組員だけでなく一般職員の個人情報も広範囲かつ不法に収集したと強調して「不穏団体への寄付金控除内訳結果」等の文書を公開した。2013年に作成された文書には20社余りの系列会社の職員のうち270人が不穏団体を後援しているという内容が含まれていた。同じような資料がエバーランド労組破壊裁判にも提出されたが、「2013年5月28日寄付金確認結果」というタイトルの文書には不穏団体を後援するサムスン物産など16の系列会社の役職員116人の名前が記載されていた。
寄付金文書はサムスンが労組加入の有無と関係なく広範囲に職員を査察したことの傍証であるとの指摘も出ている。事件に詳しいある関係者は「(寄付金資料は)労組員や問題の人物だけを対象にしたものではない。系列会社別に職員が出した寄付金を確認して不穏団体寄付内訳を確認したものと見られる」と話した。
■サムスン、「進歩団体=不穏勢力」と規定
ハンギョレが確保した文書には、サムスンの進歩的市民団体に対する視点がそっくりあらわれている。「不穏団体への寄付金控除内訳結果」という文書には「(寄付者)名簿を各社に通知し、労使部署の主管の下で特異行動を把握するなど密着管理に力を注ぎ…(中略)…特に統一進歩党、我が民族一つ運動本部など親北朝鮮左派性向の強い団体に寄付した人を中心にモニタリング強化の方針」という計画が含まれていた。進歩的価値を追求する市民団体を「不穏」勢力と規定し、これらの団体を後援する職員を監視することを「労使業務の一環」と見たわけだ。ただし、検察は当該文書の通りに職員管理がなされたかどうかについては確認できなかった。
「不穏寄付者密着管理」と細かい指示
「系列会社に名簿通知し特異行動把握
左派団体寄付者モニタリング強化」
しかし、実行の有無とは別に、このような個人情報は収集自体が不法だ。17日、サムスン電子サービス労組瓦解事件の一審宣告をしたソウル中央地裁刑事23部(裁判長ユ・ヨングン)も、未来戦略室がサムスン系列会社の職員の基本的な身上情報をはじめ財産状態や性向、誰と親しいか、労組加入・脱退の有無など敏感な情報を取得した疑いに対し、有罪判断を下した。エバーランド労組瓦解事件を判決したソウル中央地裁刑事33部(裁判長ソン・ドンファン)も、未来戦略室で労使業務を総括したカン・ギョンフン・サムスン電子副社長が各系列会社の人事担当者から当該情報の提供を受けて職員を管理することに共謀したと見て、個人情報保護法違反容疑に対して有罪を宣告した。
これに先立ちサムスンエバーランドおよびサムスン電子サービス労組瓦解事件を審理した裁判所は、13日と17日にそれぞれサムスンの組織的な労組瓦解共謀犯行を認めてカン副社長とイ・サンフン・サムスン電子取締役会議長などに実刑を宣告した。カン副社長はエバーランド事件で懲役1年4カ月、サムスン電子サービス事件で懲役1年6カ月を宣告され、イ議長も懲役1年6カ月を宣告されて共に法廷拘束された。
チャン・イェジ、コ・ハンソル記者(お問い合わせjapan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/922158.html
韓国語原文入力:2019-12-26 05:01