「同一労働同一賃金」導入前に契約社員の賃引き上げた企業も (1/28)

「同一労働同一賃金」導入前に契約社員の賃引き上げた企業も
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NHK News 2020年1月28日 20時01分

正社員と非正規社員の待遇に不合理な差をつけることを禁じた「同一労働同一賃金」が、ことし4月から始まります。企業の中には、導入を前に契約社員の賃金を、同じ条件で働く正社員の水準まで引き上げた企業もあります。

物流大手の日本通運は、トラックのドライバーや倉庫の作業員など、非正規で働く人を含めておよそ4万人の従業員がいます。

会社では、同一労働同一賃金の導入を前に、去年4月からフルタイムで正社員と同じ仕事をしている契約社員およそ6000人の賃金を、転居を伴う転勤がない正社員と同じ水準に引き上げました。

具体的には、勤続年数が3年以上の契約社員は正社員として雇用する一方、勤続年数が3年未満の契約社員は給与体系を正社員と同じにし、ボーナスについても夏と冬の年2回、正社員と同じ基準で支給することにしました。

こうした措置によって、今年度の人件費は前の年度と比べて48億円増加する見通しで、会社はことし3月期の決算では減益を見込んでいます。

日本通運の労働担当の北隆司専任部長は「物流業界全体で人手不足が顕在化する中で、正規、非正規社員問わず、前向きに働く制度を作り上げたという観点においては、将来の成長の布石になると思う」と話していました。

製造業ではこのほか、タイヤメーカー大手の「ブリヂストン」が、従業員のモチベーションを上げるため、おととし10月から国内15の工場で働く契約社員およそ1300人に、正社員と同じ水準の月額2万円の夜勤手当の支給を始めています。
専門家「一気に同じ待遇は困難」 専門家「一気に同じ待遇は困難」
ことし4月から始まる「同一労働同一賃金」について、雇用問題などに詳しい日本総合研究所の山田久主席研究員は「日本の場合、正社員は人に対して、非正規社員は仕事に対して、それぞれ賃金を支払うなど基準が違うため、一気に待遇を同じようにするのは難しい」と述べました。

そのうえで「非正規社員の賃金を正社員と同じにするだけではなく、しっかり昇給したり、正社員に登用したりするなど、キャリアとしての差をなくすことが大事だ」と述べ、非正規社員の待遇改善には、賃金だけでなく教育や評価の仕組みなども合わせて対応することが大切だと指摘しました。
 

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