「オスプレイいらない」「基地ノー」と怒る沖縄県民の叫びが東京で響いた。本土に住む私たちと政府は、この声を誠実に聴かなくてはいけない。
主催者発表で4千人が、霞が関の官庁街に近い日比谷公園に集い、銀座を歩いた。
そのなかに沖縄県内の41市町村すべてからの首長、議長や県議ら約140人がいた。党派の異なる首長、議員らがこれほどまとまって上京するのは他県もふくめ異例だろう。
首長らは、新型輸送機オスプレイの配備撤回と米軍普天間飛行場の県内移設断念を求める建白書を、安倍首相に渡した。
首相は「基地負担軽減に向けて頑張っていきたい」と述べたという。この答え方は民主党政権時代の政府と同じだ。
沖縄県民が求めているのは普天間の閉鎖・撤去そのものだ。経済的な手当てではない。根本的な解決がない限り、沖縄の怒りは消えず、日米同盟を不安定にする要素がいつまでも続く。
どれほど訴えても負担が減らず、逆に安全性に疑問があるオスプレイが新たに配備され、沖縄の人たちは民意が踏みにじられたと受けとめている。
森本敏・前防衛相は退任前の昨年末、普天間移設先について「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると、沖縄が最適の地域」と話した。
本土に新たな基地を造るのは住民が受け入れないが、すでに米軍基地が多い沖縄ならできるということなのか。沖縄の「戦略的な地理的優位性」を掲げる防衛省とは別の本音を、大臣が明かしたことになる。
日本各地で基地反対の闘争が激化した半世紀前、岐阜と山梨にいた海兵隊が沖縄に移った。
それ以来いまも続く海兵隊の沖縄駐留は、軍事上の必要というより、国内の負担分かちあいをできない日本政府の都合によるものではないか。そう、沖縄県民はみている。
在日米軍の再編見直し計画では、沖縄の海兵隊をオーストラリア、ハワイにも移転し、巡回展開する。地上部隊の主力である歩兵の第4海兵連隊はグアムに。沖縄に残る砲兵の第12海兵連隊は日本本土でも訓練し、およそ半年間は沖縄にいない。
常駐基地が沖縄でないといけない根拠は、ますます薄くなっている。
地域の安定のために、日米同盟を必要だと考える人は多い。だが海兵隊をはじめ、国内の米軍専用施設の74%を沖縄に集中させたままの必要はどこにあるか。安倍政権は説得力のある答えを沖縄に返す必要がある