福祉のなかま(全国福祉保育労働組合機関誌)第331号(2019年5月号)
今月の主張
最低賃金を大幅に引き上げて
「8時間働けば人間らしく暮らせる社会」をめざそう
最低賃金をめぐる動きが活発になっている。今年2月、自民党内に全国一律最低賃金制の法制化を推進する議員連盟が発足した。外国人労働者の東京一極集中の是正や地方経済の底上げを目的にしたものであるが、4月には全労連役員や研究者が出席し、レクチャーするなど積極的な活動がされている。
政府は最低賃金を加重平均で時給1000円程度になるように段階的に引き上げるとしてきたが、全国一律化をすすめる方向にはない。しかし、与党内に全国一律制などを求める具体的な動きが出てきたことで、今後の政府の政策に少なからず影響を与えていくのではないか。背景には、大幅な引き上げを求めてきた労働者・国民の運動の広がりがある。
現在の最低賃金は、最も高い東京都で985円、最も低い鹿児島県で761円と、224円の格差がある。東京の最低賃金でフルタイム働いたとしても月額では15万円ほどにしかならない。全労連の最低生計費調査では、全国どの地域でも月22〜24万円(時給換算で約1500円)は必要とされ、現状は「最低」の生活すら保障していない。
そもそも賃金水準が低い福祉労働者にとっては、最低賃金と正規労働者の賃金水準の差は接近しており、最低賃金の引き上げは、非正規労働者だけでなく福祉労働者全体の問題となっている。
大幅な引き上げを最重要課題と位置づけ、全国的な運動を展開している産業別労働組合も少なくない。また4月に全国港湾労連が産別最低賃金の引き上げを求めてストライキに立ち上がったことは記憶に新しい。
最低賃金をめぐる運動は夏にむけて本格的にすすんでいく。「8時間働けば人間らしく暮らせる社会」をめざし、とりくんでいこう。