連合30年/真価問われる運動の進め方
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2019年12月23日月曜日 河北新報
労働組合の全国中央組織である連合が先月、結成30年の節目を迎えた。
目標とした組合員1千万人は遠く、2度の政権交代に貢献した政治力は低下した。令和の時代にどう運動を進めるのか、真価が問われよう。
連合は1989年、官公庁を中心とする旧社会党系の日本労働組合総評議会(総評)と、旧民社党系で民間企業が多かった全日本労働総同盟(同盟)が統合して発足した。
流通サービス業などでつくるUAゼンセンや自動車総連、電力総連、自治労、日教組など48の産業別組織などが加盟。組合員は2年目の808万人をピークに、組合活動の敬遠などで2007年は664万人まで落ち込んだ。
08年のリーマンショック後、派遣切りされた労働者が東京・日比谷公園に集った「年越し派遣村」に組織的な支援を行わず、批判を浴びた。大企業に勤務する組合員が中心の「正社員クラブ」ともやゆされてきた。
09年春闘からは非正規に関する要求を盛り込んだが、パートや有期雇用、派遣といった非正規労働者への対応が後手に回った面は否めない。
今春、組合員が17年ぶりに700万人台を回復したのは、非正規労働者の加入が増えているためだ。非正規の組合員は約120万人に上る。
政策実現行動に「働くことを軸とする安心社会」を挙げる。非正規と正社員との格差是正をはじめ、フリーランスや外国人労働者など既存の労働組合の枠外にいる人たちへの支援強化が求められる。
政治面では「力と政策」を掲げてきた。組織内議員を国会に送り込み、09年には全面支援した民主党が衆院選で308議席を獲得し、政権交代を実現した。
3年余りの民主党政権は外交や安保政策に加え、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故対応を巡って迷走。労組間で「脱原発」を巡る路線の隔たりも鮮明になった。
連合が求めた政策は思うように実現せず、民主党は政権から陥落。現在は旧総評系が立憲民主党、旧同盟系が国民民主党を主に支持する「股裂き」状態となっている。
臨時国会では立民、国民などが衆参両院で統一会派に合流した。立民は一つの政党への合流を提案しているが、道筋はまだ見えてこない。
連合が秋に決定した20〜21年度の運動方針では、支持政党の明記を見送った。神津里季生会長は、立民と国民の合流に期待を示す。
民主党政権の失敗とその後の分裂劇は、支持してきた組合員に失望として残る。野党が一つの固まりになったとしても、政権与党に対抗しうるのは小さな違いではなく、骨太の政策論争に尽きる。
連合が支持母体として再び政権交代を目指すならば、原発再稼働など組織内で賛否が割れる政策の違いを克服できるかどうかも焦点となる。