第124回 就活生は金太郎飴状態――学生のレポートより

《年度末の成績評価をしているなかで、最近の大学生の就活状況について考えさせられるレポートが目に止まりました。一部の表現を微修正のうえ、氏名を伏せてここに全文掲載します。》

    就活生は、切っても切っても同じ、金太郎飴状態!

私は、最近の就職氷河期によって就活生皆が同じような人間になっている気がしてなりません。今年は、リーマンショック後のバランスシート調整の影響から、一段と厳しい就職事情となっています。10年前も最悪だったようですが、今はそれよりもさらに厳しい就職状況と言えると思います。セミナーに通い、企業研究も重ね、自己分析を何度も行い、グループワークや面接の訓練も頑張っています。ここまで頑張る理由は厳しい環境のせいなのです。そしてその苦しい環境を作り出しているのは次のような要因だと考えます。

1.グローバル化  2.不況  3.就活ビジネス成熟化  4.学生の意識変化

1と2については省略します。3について言うと、就活支援活動はいまや一大ビジネスとなり、就括塾などが誕生しました。と言いながらも、私も通っています。このビジネスが成熟してきたために、エントリーシート対策や面接対策のノウハウを手に入れ、十分に準備した上で企業エントリーを行えるようになりました。しかし、弊害として学生がみな同じプロセスで準備をするようになったため、画一的な学生(金太郎飴状態)が増えてしまったと考えます。リクルートスーツを着ている時点で就活生なんてみんな同じに見えるのに、自己分析の結果や志望動機などまで同じことを言う状態です。それを見破るために何度も面接をし、企業はコストをかけてしまっている状態です。

4について言うと、今の私たちは不況やデフレ、リーマンショックなど多くの危機を目の当たりにしてきているので、どうしてもリスク回避志向になってしまいます。目標は「就職すること」です。ということは選考で落とされることは、就職するという目標が達成できなくなるリスクとなるわけです。ですから、選考で落とされるリスクを少しでも軽減しようとします。具体的にどのような行動をとるのかというと、例えば、選考で落とされてしまう次のような要因に対し、それぞれ対策を打つわけです。ESが面接官の目に止まらず落ちる、自己分析が甘い、面接官の質問にうまく答えられない、グループディスカッションで発言できない。

上記のことからプロのアドバイスを受けて選考に落ちない技術を身につけます。さらにリスクを分散するために、数十〜数百もの企業にアプローチするわけです。じっくり企業分析をしてその企業で何ができるのかなんて、考えている暇もありません。このリスク思考と就活支援ビジネスが学生を同一の行動に走らせ、結果的にどの学生も金太郎飴状態。それでも、最もリスクの小さい方法を採りたいと思っているというのが実情です。もちろん、落ちないための対策が要らないと言っている訳ではなく、対策は対策で必要ですがそれだけでは不十分ということです。そんな時代なので、人と少し違うアプローチを採ってみようと考えています。

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