私が代表を務める株主オンブズマンから東京電力に対して、福島第一原発の事故対応について要望書を送りました。
そのなかではコーポレート・ガバナンスの観点から、事故対応の疑問点に関して以下の7点を挙げ、それぞれについて事態と経過を説明しています。
<問題点>
1)「想定外」を逃げ口上にした危険無視の津波対策
2)廃炉を恐れて海水注入に抵抗
3)悪夢のような増設計画の提出
4)ガバナンスの機能不全を曝した事故対応
5)今回の事故でも変わらない東電の隠蔽体質
6)涙金の見舞金とわずかな仮払い補償金
7)過去の報酬に触れない姑息な役員報酬削減
要望書では、これらをそれぞれ数行ずつ説明したうえで、後段では以下の4点について理由を付して要望しています。ここでは第4番目の項目についてのみ全文を貼り付けておきます。
要望書の全文はこちらをご覧ください。
<要望事項>
1.放射能汚染拡大の収束に総力をあげる
2.原発事故に関する損害賠償に第一義的責任をもつ
3.東電のガバナンスの仕組みのなかに「環境安全委員会」を設置する
4・東電役員は過去数年の報酬を被害住民への見舞金に拠出する
東電の有価証券報告書で見ると、2005年度から2009年度までの5年間に社外役員を含む全役員に支払われた報酬等(賞与と退職慰労金を含む)の総額は、約45億円に上ります。しかし、聞こえてくるのは姑息な報酬カットのニュース程度で、社長・会長・副社長などの代表権を持つ東電役員でさえ、何億円あるいは何千万円かの寄付をしたという報道はありません。東電役員に今回の事故についての責任意識が多少ともあるのであれば、過去数年に受け取った全役員の報酬を総額拠出して、原発事故被害を受けた住民と事業者に見舞金として寄付するべきです。