第271回 脱線休講 私の短歌事始め その2

6月26日の第264回に続く短歌1年生の狂歌、笑歌の類の習作です。忙中閑ありの遊び心で作りました。笑って読んでやってください。

6/30 日本に貧乏人を溢れさせ食っていきたきゃ軍隊に入れ

7/2 君はもう覚えてないかもしれないけれど二人で歩いた初めての夜

7/5 職引いて蝉鳴く夏がきてもまだのんびり気分になれないでいる

7/5 停まる駅どこもたいてい無人駅廃線だけは免れている

7/7 あと数戸絶えれば消える山里でホトトギス啼く遠く近くに

7/8 本物か機械仕掛けの警告音かあれはおそらくホトトギスだよ

7/13 ホトトギス胸の高鳴る恋破れ秋来ぬうちに啼いて去り行く

8/3 窓締めて冷房無くても寒い朝8月3日の島の合宿

8/10 父母とローソク囲む夜は楽し台風が来て怖いなかでも

8/10 大水が引いた田んぼで子どもらが鯰見つけて喜んでいた

8/10 猫の子を袋に入れて大水に流せと言われた日もありました

8/21 お母さんカニが2匹にふえてるよ子どもじゃないよもう大きいよ

8/22 船に乗り瀬戸の眺めを見もせずに二人並んでスマホしている

9/8 鉢植えのオリーブの実が熟れ始め枝もたわわに秋はきたれり

9/8 男より男の味方の飾りなら増えても女は救われません

9/8 川岸で竹箒振り蛍捕る少年の日の初夏の夕暮れ

9/14 花巻の伊具根の里は黄金色ここには日本の秋があります

9/14 下宿跡にちゃんがちゃがうまこの詩碑がある賢治の学んだ街に来ている

9/22 携帯で携帯探してふと思う我もまたいつかこうして探されるかも

9/26 この先にあの日狂った海があるその年に見た閖上の浜

9/26 仙台で山形行きの列車待つ土の匂いの会話聞きつつ

9/27 日本の空の女性はみな若い笑顔で泣いて辞めていきます

9/27 啄木がつぶやいてから一世紀、じっと手を見る人が増えてる

10/30 我が輩は虎になれない猫であるそんなお前に愛想が尽きたよ

10/31 五時に来てすでに十人待っているいつになったら帰れることやら

11/2 みかん食べ放った皮が屑籠に入っただけで喜んでいる

11/9 階級を語らなくなり半世紀いま語らずにいつ語るのか

11/9 戦争は忘れた頃にやって来るそんな日本が近づいている

11/11 柿の種を皿に並べて遊んでいる笑った顔から怒った顔へ

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