第285回 モンテローザ型限定正社員はブラックの進化系でしょうか。

Face Bookにも書きましたが、5月29日夜、働き方ASU-NETの会議があり、二次会に南森町の「山内農業」という看板の居酒屋に行きました。そこでおもしろい求人広告があったよと教えられ、帰りに見ると、入り口に次のようポスターがありました。

  ★正社員募集 注目ポイント★

      入社研修あり
      週休2日制社員
      週休3日制社員
      地域限定正社員
      山内農場 モンテローザ
      正社員募集中!!

ネットの求人情報を調べると、この週休3日制は月12日休みとなっています。とはいうものの、週休2日制と同様に、所定労働時間は月177時間です。177時間を勤務日数の19日で割ると、「残業なし」を売りにしながら、1日の労働時間は9時間19分の計算になります。法定の8時間を基準にすれば月25時間の残業があることになりますが、1か月単位の変形労働時間制をとっているので、残業代を払わずとも違法ではない?ということのようです。

週休3日制社員は、「残業なし」ですから、残業代は出ません。週休2日制社員は1年目の給与(税引前)は週30時間の残業代込みで20万円(基本給15万円+残業代5万円)という社員の内部情報もあります。ここから推測すると、残業なしの週休3日制社員の初任給はよくて15万円でしょう。これを所定の177時間で割れば、時給は847円

名付けて「モンテローザ型限定正社員」! これは政府が推奨する限定正社員の一例です。深夜勤がないという保証はありません。たとえ深夜がなくても、これではアルバイトのほうがまだましです。これはブラックの進化でしょうか、それとも深化でしょうか?

モンテローザはブラックといわれてきました。2010年の2月10日のYahoo 知恵袋には次のような書き込みがあります。

アルバイトでも時計一周分以上働かせられるしサービス残業当たり前。暴力当たり前。社員は14時から朝の6時。正月は18時間労働普通。過去過労死も続出、訴訟もおきてる。アルバイトの前で幹部に殴るけるの暴行もたまにされる。体調悪くても関係ない。出勤しないと罰金とられる。労働基準法なんてないブラック企業ランキング1位。組合を結成した人間で、特に勢力的(精力的?)に労働環境の改善を訴えた女性三人を歌舞伎町のキッツイ店舗に ぶっこんで、事実上の強制退職まで追い込んだ事例あり。そして極め付けに、年末や正月は「例え家族が死んでも出勤しなきゃ左遷&8万円の罰金」←マジです。

新しいところでは今年の4月2日のMy News Japan (編集長 渡邊正裕公式ブログ)に「モンテローザ『魚民』29歳正社員の過労死が示唆する日本の闇」と題して、次のような情報が載っています。

2014年夏ごろ、モンテローザ五反田の寮で、29才の男性社員が亡くなった。遺族や関係者によれば、過労死だったが、詳しい病名などは不明。出勤してこないため不審に思った上司が寮の部屋に向かうと、床に這いつくばるようにして死んでいるのが発見されたという。

男性は、学生時代から10年以上にわたって、『魚民』西小山店や浜松町店など複数の店で、ずっとアルバイトとして働き、バイトのまま店長のような仕事も任され、「社員にならないか」とたびたび勧誘を受けるなど、高い評価を得ていた。

だが、自由な身分で転勤がない(品川区の実家から通える)メリットを優先させたためか、バイトのまま働き続けた。だが20代も後半になり、ついに正社員として正式にモンテローザに就職。間もなく、亡くなった。モンテローザは、立派な葬儀をあげた(後略)。

この29歳の社員は限定社員ではない正社員だったようですが、この情報からモンテローザでは過労死が過去の悲劇でないことがわかります。

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