<雇用均等調査>育休取りづらい? 取得率83%にダウン

毎日新聞 2014年8月19日

<雇用均等調査>育休取りづらい? 取得率83%にダウン

育児休業取得率の推移(図表省略)

 厚生労働省は19日、2013年度の雇用均等基本調査を発表した。民間企業の男女別育児休業取得率(確定値)では、女性は前年を0.6ポイント下回る83.0%で、07年度以降、最も低かった。なかでも小規模事業所の平均取得率が7割台にとどまっており、同省は育休取得できる体制整備が依然、不十分なことが取得率の低迷につながっているとみている。

 育休の調査は、全国の従業員5人以上の事業所4111社(回答率70.1%)を対象に実施。女性は、「500人以上」の事業所では88.2%と高かったが、「29人以下」では前年を2.1ポイント下回る71.3%となり大きな差があった。小規模事業所では代替要員の確保が難しいことや、就業規則に育休制度の規定がないなど体制が不十分で、取得できず働き続ける人が増えたためと分析する。男性は2.03%で前年より0.14ポイント増だった。

 一方、13年度の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を従業員10人以上の企業3874社(回答率63.4%)を対象に調査。前年を0.2ポイント下回る6.6%だった。女性の管理職登用促進の取り組みを実施する企業は38.2%にとどまった。

 安倍政権は20年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げるが、企業の取り組みは追いついていない。働く男女の間に生じている格差の解消を目指す「ポジティブ・アクション」に取り組む企業は20.8%で、「取り組む予定はない」は63.1%。

 取り組まない理由は「男女にかかわりなく人材を育成しているため」が50.9%と最多で、次いで「女性が少ない、全くいない」(29.5%)、「既に女性は十分活躍していると思うため」(23.6%)だった。

 男女の働き方に詳しい渥美由喜・東レ経営研究所研究部長は育休について「小規模事業所では、そもそもの人手不足や育休制度の未整備、経済的理由などで取得したくともできない人がいると考えられる」と分析。また、「日本の職場はまだ男女公正とは言えず、女性が働きやすい職場になるには女性登用の目標値を掲げて取り組むことが重要だ」と話す。【細川貴代】

この記事を書いた人