毎日新聞 2013年12月05日
大阪市立大が、教職員による学長選の廃止を決めたことが4日、わかった。大学自治の理念から約60年間続けてきたが、橋下徹大阪市長が「選挙で選ばれた市長が任命するのが民主主義だ」と見直しを求めていた。今後、学長は、大学幹部と市長ブレーンの市特別参与による選考会議が決めることになり、行政の介入が強まることに、学内から懸念の声も挙がっている。
大阪市立大は学長選を1954年から実施し、全教職員が投票するシステムだった。これまでも大学幹部と有識者で構成する選考会議が存在し、投票結果を尊重していたが、橋下市長就任に伴い、市特別参与が参加するようになった。現学長が今年度末に任期切れになることから、橋下市長の意向を受けて対応を検討していた。
選考会議(議長・柏木孝副理事長)では「民主的に選ぶ方法として投票が定着している」と慎重意見もあったが、「ガバナンス(学内統治)改革の中で適切ではない」として11月27日、廃止でまとまった。今後は、教職員10人以上の推薦がある教職員を候補者とし、選考会議が書類と面接で選出、市長が任命する。
大阪市立大の学長選を巡っては名誉教授らが10月、「学問の自由と大学自治の伝統が脅かされている」との声明を発表した。ある教授は「橋下市政の介入が露骨になるとの不安がある。自由な雰囲気と伝統が失われないか心配だ」と話した。【熊谷豪】