医療機器メーカー・アールエフ(本社・長野市)による解雇撤回と未払い賃金の支払いを求めた裁判の判決が21日、長野地裁(山本剛史裁判長)で言い渡されました。解雇無効を認定、964万円の未払い賃金・慰謝料の支払いを命じました。
地裁前で原告の山本保氏(44)が「完全勝訴」の幕を掲げると、駆け付けた支援者60人から「よくやった!」と歓声が上がり、勝利判決を拍手で喜びあいました。自由にモノが言える職場を求めた労働者の全面勝利です。
判決文の中で、裁判長は「アールエフが行った精神的圧迫は会社ぐるみの退職強要として類を見ない」と強調し、山本さんの精神的苦痛は「筆舌に尽くしがたい」としました。
09年3月、当時大阪店勤務だった山本さんらがミーティングの席上、泥酔状態の丸山次郎社長に散会を求めたところ、丸山社長から退職・配転を迫られたといいます。その後、山本さんは強制的に長野市に配置転換されました。山本さんは09年9月に未払い賃金の支払いを求める裁判をおこし、10年12月には解雇撤回を求める裁判をおこしました。
判決を受け、山本さんは「誰かが立ちあがらないといけない。私があきらめると社長の恐怖支配が続くだけだと思った。これを機に法律無視の会社経営、劣悪な労働条件、気に食わない労働者の退職強要、恐怖支配を改善・是正を求めたい」と語りました。
化学一般関西地方本部の礒部浩幸執行委員長は、「原告の思いが詰まった判決だ」と評価。内村修弁護士は「完全勝訴で会社の悪質さ、会社ぐるみの退職強要が司法の場で断罪された100%に近い勝利判決だ。控訴せず、早期に職場に復帰させるよう会社に求めたい」としました。