パート、アルバイトなど非正規労働者にも有給休暇はあります!勤務日数に応じて取得できます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20200218-00163610/
藤田孝典 | NPO法人ほっとプラス理事 聖学院大学心理福祉学部客員准教授 2020/02/18(火) 14:44
非正規労働者には有給休暇がないというウソはやめてね、というアルバイト従業員(写真:アフロ)
「正社員には有給休暇があって非正規にはない」という根深いウソ
以下の佐藤正久参議院議員(自民党)のTwitterが波紋を広げている。まず明確にこの内容は間違いである。
佐藤正久
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@SatoMasahisa
会社を休ませる指示なら、非正規の 雇用者の保障をしないと。正規は有給休暇はあっても、非正規の方々にはありません。動きます https://twitter.com/sankei_news/status/1229297059594813441 …
産経ニュース
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@Sankei_news
【速報】
受診の目安は「37・5度以上の熱が4日以上」 厚労省公表https://www.sankei.com/politics/news/200217/plt2002170015-n1.html …
加藤勝信厚労相は記者会見を行い、「発熱などの風邪症状がみられるときは会社や学校を休み、毎日検温をして結果を記録していただきたい」と語りました。#新型コロナウイルス#新型肺炎
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0:35 – 2020年2月18日
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佐藤議員のような誤解は一般にも広がってしまっており、パートやアルバイトの非正規労働者が体調不良でも出社しなければならないと誤解していることも多々ある。
パートやアルバイト、非正規雇用の労働者は働いた日数や時間に応じて、給与を支給されることが一般的であり、体調不良などで欠勤すると給与がもらえないものだと思っている。
だからこそ、体調不良でもインフルエンザでも無理して出社する人々がいる。感染症の場合には容易に拡大を招くこととなる。
また、会社によっては体調不良でも有給休暇の取得を示唆し、適用を促さない場合も珍しくない。
実際に過去の労働相談にこられた方の話で多いのは、以下のようなものだ。
会社からはパートやアルバイトには有給休暇がないと言われた。
正規の社員ではない派遣労働者には有給休暇がないことになっている。
うちの会社の雇用契約書には有給休暇がないことが記載されている。
どれも全くのウソであり、これらは明確な労働基準法違反である。
このような事実があれば管轄の労働基準監督署や都道府県労働局に問い合わせや情報提供をして是正を促して欲しい案件だ。
有給休暇は誰が取れるものなのか
上記の図は厚生労働省が分かりやすく有給休暇の発生日数を明示したものである。
週5日、所定労働時間で働いている労働者は半年働けば、10日間の有給休暇が発生する。
勤務期間が長ければ長いほど、毎年、多くの有給休暇が発生している。
問題となる非正規雇用ではどうか。
大学でもアルバイトをしている学生には話しているが、上記の図の通り、一般的に半年間職場で働けば有給休暇は発生する。
週に1回だけ働いているアルバイト学生にも有給休暇は発生する。
それ以上働いている労働者に有給休暇がないわけがない。
要するに、勤務期間、勤務日数に応じて有給休暇は全ての労働者に付与されている。ここは大事なので絶対に覚えておいて欲しい。
正規、非正規という雇用形態に関係なく、皆さん自身も今どれくらい勤務していて有給休暇がどれくらいあるのか調べていただきたい。
実は日本では佐藤議員同様、誤解が蔓延していることからも、有給休暇取得率が低く、実質的に非正規雇用においてはほぼ取得できていない。
労働法制、労働法があっても全く機能していない分野と言っていいだろう。
厚生労働省でも働き方改革を進め、有給休暇取得を推奨するため、2019年4月には法改正まで行って取り組みを見せている。
この労働基準法改正によって、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることも義務付けられている。
しかし、このような現状である。法制度が守られる補償は一切ない。
まずは労働者自身が持っている休暇を取る権利をきちんと主体的に行使していくことが重要である。
新型コロナウイルスだけでなく、感染症の拡大を抑止するためにも、社会のためにも労働者は有給休暇をきちんと取得して欲しい。
当然ながら、政府、企業はそのための措置を最大限考慮して取り組むべきだろう。
もちろん、有給休暇を取得した労働者を「怠け者」、病気で休んだ労働者を「病弱」などと仲間同士で非難してもいけない。
有給休暇を取得されたら職場が回らない、誰かに負担が集中する、というのであれば、それを改善する責務は使用者にこそある。
経営の問題であり、労働者が過度に責任を負う必要などないものなのだから。
藤田孝典
NPO法人ほっとプラス理事 聖学院大学心理福祉学部客員准教授
ルーテル学院大学大学院博士前期課程修了。社会福祉士。生活困窮者支援を行うソーシャルワーカー。専門は現代日本の貧困問題と生活支援。北海道医療大学臨床教授。四国学院大学客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。元・厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(生活困窮者自立支援法)。著書に『中高年ひきこもり』(扶桑社 2019)『貧困クライシス』(毎日新聞出版2017)『貧困世代』(講談社 2016)『下流老人』(朝日新聞出版 2015)。共著に『闘わなければ社会は壊れる』(岩波書店2019)『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』(岩波書店 2015)など多数。