社説[コロナ対策第2弾]もっと大胆な支援策を
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/545911
沖縄タイムズ 2020年3月12日 07:36
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は第2弾の緊急対策を決めた。
対策決定に合わせて安倍晋三首相は、全国的なスポーツや文化イベントの開催自粛をさらに10日間程度、継続するよう要請した。
自粛の延長と経済面の支援策を抱き合わせで打ち出すことによって、国民の不安や懸念を和らげる狙いがありそうだ。
問題は、経済支援策の規模と内容が、経済や市民生活への影響の大きさに見合っているかどうか、である。
昨年10〜12月期の国内総生産(GDP)は、消費増税の影響もあって、年率換算で7・1%の減となった。
その上、小中高の臨時休校、中国、韓国などからの入国制限、イベントの開催自粛、中国からの部品調達が滞るなど、マイナス要因が重なり、先が見えない状況だ。
自粛要請の期間がさらに長引けば、影響が拡大するのは確実である。
第2弾の緊急対策は、業務委託を受けて働くフリーランスへの助成が盛り込まれるなど異例の措置もみられるが、不安解消の力強さに欠ける。
生活者、消費者視点の対策、中小企業や零細企業重視の支援策を、もっと大胆に打ち出すべきである。
感染者の数は少ないものの、観光業の落ち込みが地域経済のあらゆる分野に波及し、深刻な状態に陥っているのが「観光立県」の沖縄だ。
現場の窮状に見合ったきめ細かな支援策が、今ほど求められているときはない。
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日銀那覇支店は、3月の県内金融経済概況で、東日本大震災の影響を受けた2011年4月以来、8年11カ月ぶりに、足元の景気判断を下方修正した。
消費増税、日韓関係悪化に伴う韓国からの観光客の減少、首里城火災、豚熱(CSF)の発生、新型コロナウイルスの感染拡大による入国規制、イベント自粛…。
悪い材料ばかりがこれでもかと押し寄せ、ホテル、土産品店などの観光業だけでなく、コンビニもスーパーも飲食店も軒並み売り上げが減った。農業や漁業も価格の低迷、売り上げの大幅な減少が目立つ。
懸念されるのは、業績悪化が雇用を脅かし始めていることだ。沖縄労働局には、企業の担当者や労働者個人からの相談が急増しているという。
県は、沖縄経済が分岐点に差し掛かっているとの自覚をもって対策にあたってもらいたい。
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「現場の悲鳴」にどう向き合うか。地域にはそれぞれの事情があり、地域の実情に即した対策が必要だ。
国の一律の緊急対策だけでは、沖縄の窮状を全面的にカバーすることはできない。
県は、国から雇用調整助成金を受けた事業者に対し、助成金を上乗せして交付するなどの独自の緊急経済対策を打ち出した。
ただ、支援策のメニューが乏しく企業や個人の負担を減らすには不十分だ。
危機を乗り切るため、県と経済界が一体となって取り組むことを求めたい。