生活福祉資金の特例貸付が本日から開始ー状況次第で10〜80万円がもらえる償還免除もありー
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20200325-00169705/
藤田孝典 | NPO法人ほっとプラス理事 聖学院大学心理福祉学部客員准教授
2020/03/25(水) 18:43
〔写真〕生活福祉資金貸付の特例が開始ー10万円〜80万円を返還しなくてもよい場合ありー(写真:アフロ)
生活福祉資金の特例貸付制度が開始
本日(3月25日)から以下の通り、厚生労働省が発表した生活福祉資金・緊急小口資金の特例貸付制度が始まった。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の拡大について
本年3月10日付のプレスリリース「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の実施について」により、新型コロナウイルス感染症の影響により、収入減少があった世帯の資金需要に対応するため、生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金及び総合支援資金(生活支援費)について特例措置を設ける旨をご案内しました。
今般、「生活不安に対応するための緊急措置」(本年3月18 日新型コロナウイルス感 染症対策本部)を踏まえ、本特例貸付を拡大することとしたので、その概要を別紙の通りお知らせいたします。
詳細については、厚生労働省のプレスリリースを読んでいただきたい。
要するに、国の「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策ー第2弾ー」において、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、貸付の対象世帯を低所得世帯以外に拡大している。
休業や失業等により生活資金で悩んでいる方たち、収入の減少で苦しんでいる方たちに向けた、生活福祉資金の特例貸付である。
新型コロナウイルスによって、経済的な損失や収入減少があった場合で、生活に困っていれば概ね対象となる。
2種類の生活福祉資金の特例貸付とは
この特例貸付制度は2種類ある。休業された方向けと失業された方など向けである。
以下の表にわかりやすく貸付対象者や貸付条件が記載されている。
内容を確認いただきたいし、不明な点は遠慮なく、お住まいの市区町村社会福祉協議会に聞いていただきたい。
休業された方向け(緊急小口資金)
失業された方等向け(総合支援資金)
この特例貸付制度の開始によって、早速、今日から各市区町村の社会福祉協議会に相談が相次いだ。
都内のある社会福祉協議会では、開庁前に行列ができるところも出ている。
一部で混乱も見られるが、明日以降も順次、貸付対象者から受付を続けていく予定である。
繰り返すが、窓口は市役所ではなく、お住まいの市区町村社会福祉協議会であり、生活福祉資金貸付制度の申込受付が開始されている。
上記のとおり、休業向けの「緊急小口資金」、失業向けの「総合支援資金」の2種類の制度があるが、併用することも可能となっており、最大80万円が無利子・保証人無しで貸してもらえる。
例えば、緊急小口資金20万円と総合支援資金20万円を3ヶ月で、世帯や状況によっては、合わせて最大80万円の貸付が受けられる。
このような破格な待遇での貸付は従来にはないものだ。
利子や保証人が必要な銀行や消費者金融、クレジットで借りなければならないと思っている方は、絶対に社会福祉協議会にすぐ相談するべきである。
そして、最大の魅力は貸付であるのだが、償還時になお所得の減少が続く場合(住民税非課税世帯など)は、償還を免除(返還不要)することができる。
つまり、生活困窮世帯にとっては、10万円〜80万円の実質的な給付措置なのである。
このような機会はなかなかないものである。
仕事が減ったり、収入が減った事実があり、生活に困っている場合はぜひお気軽に相談してみてほしい。
困った時はお互いさまであり、できた制度は使わないともったいない。恥ずかしがる必要もない。
場合によっては周囲の友人や知人にも紹介して一緒に貸付を受けてもらいたい。
明日も朝から各市区町村社会福祉協議会は開いており、皆さんの相談を待っているはずである。
藤田孝典
NPO法人ほっとプラス理事 聖学院大学心理福祉学部客員准教授
社会福祉士。生活困窮者支援ソーシャルワーカー。専門は現代日本の貧困問題と生活支援。聖学院大学客員准教授。北海道医療大学臨床教授。四国学院大学客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。元・厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(生活困窮者自立支援法)。著書に『棄民世代』(SB新書2020)『中高年ひきこもり』(扶桑社 2019)『貧困クライシス』(毎日新聞出版2017)『貧困世代』(講談社 2016)『下流老人』(朝日新聞出版 2015)。共著に『闘わなければ社会は壊れる』(岩波書店2019)『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』(岩波書店 2015)など多数。