元請負社員の主張棄却 神戸地裁判決「偽装請負」認めず (3/14)

元請負社員の主張棄却 神戸地裁判決「偽装請負」認めず
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/202003/0013191923.shtml
2020/3/14 00:48神戸新聞NEXT

〔写真〕神戸地方裁判所

 兵庫県伊丹市の床材メーカー「東リ」工場での就業実態が違法な「偽装請負」だったとして、元請負社員の男性5人が同社に直接雇用などを求めた訴訟の判決が13日、神戸地裁であり、泉薫裁判長は5人の請求を棄却した。

 原告側弁護士によると、労働者派遣法の「雇用申込みのみなし」規定を争点とした全国初の訴訟という。訴状などによると、尼崎、西宮、伊丹市などに住む40〜50代の5人は約4〜19年間、東リの伊丹工場で勤務。請負契約にもかかわらず、正社員と同様に東リからメールなどで指示され、クレーム対応もした。5人は2017年4月、別の派遣会社へ業務が引き継がれた際に不採用となった。

 判決では、請負業者が製造ラインの使用料を東リに払っていたことや、東リからの増産要請では増員を拒んだことなどから、業務の独立性を認めた。また、業務指示などのメールは「宛先が請負企業の現場責任者宛てになっており、個々の従業員宛てでない」として5人の主張を退けた。

 判決後に会見した原告側弁護士と5人は「(裁判所が)適正な請負契約と判断したのは信じがたい」として控訴の方針を示した。同社は「主張が全面的に認められたと理解し、良識ある判断が示された」とした。 

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