新型コロナウィルス感染の拡大とそれに伴う政府の緊急事態宣言によって、派遣労働者をはじめ非正規雇用労働者が仕事を失うなど深刻な状況が生まれています。関連したNews記事を集めました。
6月末で期間終了する派遣労働者が多く出てくることから「5月危機」が指摘されています。
また、添乗員や旅館で働く登録型派遣や日雇い派遣などの最も不安定な類型の問題が浮上しており、注目されます。
【New!】派遣労働者を支援するユニオンが国に対して、派遣会社が雇用維持をするように要請しました。
(最終更新 8/1)
□青木耕太郎(総合サポートユニオン共同代表)@kotaro_aoki
7月30日に、生存のためのコロナ対策ネットワーク主催で、東京東部労組菅野さん、首都圏青年ユニオン原田さん、総合サポートユニオン青木、名古屋ふれあいユニオン鶴丸さん(zoom)、連合福岡ユニオン寺山さん(zoom)が参加する形で記者会見を開き #コロナで派遣切りするな と訴えました。
□派遣労働者の雇用維持 派遣会社に要請を 国に申し入れ(2020.07.31NHK)
企業に再三、雇用の維持を要請しているにもかかわらず、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止めにあう労働者があとを絶たないとして、支援するグループが国に対し、特に派遣会社への要請を強めるよう申し入れました。
申し入れを行ったのは、労働組合や大学教授、それに弁護士などでつくるグループです。
それによりますと、派遣労働者からの相談のおよそ3割が解雇や雇い止めに関するもので、その割合は正社員や契約社員より高く、国が企業に再三雇用の維持を要請しているにもかかわらず、特に派遣労働者では、解雇や雇い止めにあうケースがあとを絶たないとしています。
そのうえで国に対し、実態を調べ、派遣会社に雇用の維持や休業中の補償を十分に行うよう、一層強く要請することを求めています。
□コロナ失業する非正規の女性「同じ人間とも思われない」(2020.7.14朝日)
派遣会社の前で抗議の声を上げる派遣労働者の女性(右)と総合サポートユニオンのメンバー=東京・銀座
経世彩民 高橋末菜の目
9日、雨が続く夜の銀座で傘を差し、その女性(40代)は拡声機のマイクを握って声を上げた。「雇用調整助成金を活用して派遣社員の雇用を守ってください」「雇い止めを撤回してください」1人から加盟できる労働組合「総合サポートユニオン」の仲間たち十数人も一緒だ。
目の前のオフィスビルには、女性が登録していた派遣会社が入っている。この日初めてあった同社との団体交渉で、会社側が「ゼロ回答」だったとして抗議に来ていた。
女性は昨年4月から、企業の広報誌などを作る会社に派遣されて働いていた。「長く働ける職場」と聞き、派遣先の上司との信頼関係も築けていると感じていた。
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化した3月下旬。派遣先は、社員を在宅勤務に一斉に切り替えた。一方、派遣社員には「出社がいやなら有給休暇を」と告げた。感染は怖かったが、仕方なく出社を続けた。
- □4月の派遣社員、前月比7.6%減少 求人数は23%減(2020.06.05日経)
- □47歳契約社員、コロナで雇い止め「想像しうる最悪の状況」(2020.06.02週刊SPA!)
- □「死にたい」コロナ雇い止め、底なし 矢面に立たされる派遣社員ら(2020.06.01西日本)
- □宮城・ホンダ系企業 「コロナ」口実に派遣切り_1カ月単位で解約_共産党・労組が支援(2020.06.01赤旗)
- □窮地の非正規通訳 新型コロナでインバウンド需要激減 一方的雇い止め(2020.05.31毎日)
- □新給付金 登録派遣も 宮本氏「手当てしっかりと」(2020.05.30 赤旗)
- □雇用改善、誇り続けたアベノミクスのツケ 続く派遣切り(2020.05.28 朝日新聞)
- □非正規社員襲うテレワーク差別 妊娠、持病ですら認められず(2020.05.29 東京新聞)
- □(けいざい+)派遣添乗員の苦境:上 補償拒まれ「完全に収入ゼロ」(2020.05.26朝日新聞)
□(けいざい+)派遣添乗員の苦境:中 回復しても、人材確保に不安(2020.05.27朝日新聞)
□(けいざい+)派遣添乗員の苦境:下 不安定な雇用、使い潰す業界(2020.05.28朝日新聞) - □制度の隙間にすっぽり…日雇い派遣(2020年05月20日 日テレNEWS24)
- □派遣社員、3割失業経験 民間調査 コロナ禍で相談増加(2020.05.20 日経)
厚生労働省 派遣労働者の雇用維持等について要請(2020.5.26)関連情報 - □厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について要請(2020.5.26)
- □経団連 派遣労働者の雇用維持を会員企業に要請 新型コロナ(2020.05.29 NHK)
- □派遣契約の更新努力を 経団連が会員企業に要請(2020.05.26時事通信)
□47歳契約社員、コロナで雇い止め「想像しうる最悪の状況」(2020.06.02週刊SPA!)
・“コロナ失職”の深刻な現状
・本山大輔さん(仮名・47歳)……業務用機器メーカーの契約社員だったが3月末で契約満了となり現在は無職。リーマン・ショック後にも雇い止めに遭った経験を持つ
□「死にたい」コロナ雇い止め、底なし 矢面に立たされる派遣社員ら(2020.06.01西日本)
・勤務中に軽いせき。熱は37度台前半。約1週間自宅待機し、在宅勤務
・「熱が出ている人に仕事はさせられない」(派遣先)
・在宅勤務に差し支えはないと訴えたが、職場から持ち帰ったパソコンは取り上げられた
□宮城・ホンダ系企業 「コロナ」口実に派遣切り_1カ月単位で解約_共産党・労組が支援(2020.06.01赤旗)
・「派遣切り」の広がり→突然、解雇・雇い止め、社員寮も追い出される労働者が相次ぎ、2008年の「派遣切り」をほうふつとさせる
・18年夏から、ホンダが株主の部品メーカー工場(宮城県亘理町)に派遣。時給1200円で部品加工や検査に従事。3月、契約期間2カ月にから1ヵ月に短縮。3月末に突然、派遣会社から雇い止め通知。社員寮も5月8日には退去迫られる。
非正規労働者の権利実現全国会議の村田浩治弁護士の話
コロナを口実にした「派遣切り」は、2015年派遣法改定時に安倍首相が雇用を安定させる改正だとしていた建前がうそだった
08年のリーマン・ショックのときに「派遣切り」を生んだ教訓から、12年の派遣法改正を実現しました。しかし、15年施行の1日前に安倍政権によって再び改悪されて延長が可能となったため今回も防げなかった。もう一度派遣法を抜本的に改める動きを起こさなくてはなりません。「派遣切り」によって生活が苦しい派遣労働者が声をあげることは大変ですが、労働組合に加入するなどして、声をあげてください。私たちも支援します。
□窮地の非正規通訳 新型コロナでインバウンド需要激減 一方的雇い止め(2020.05.31毎日)
4月末で百貨店の中国語通訳の仕事を雇い止めになった30代女性
大手百貨店の子会社の人材派遣会社に登録し、化粧品会社に派遣される形で働いていた。
だが、今年に入り状況が一変。中国人の団体旅行が中止になった1月27日以降、客は激減し、3月は月12回のシフトが10回に減った。4月に入ると「今月中旬には今の職場での仕事がなくなる」と告げられ、さらに別の派遣先の面接も中止に。国が7都府県に緊急事態宣言を発令した翌日の4月8日、派遣元から「退職手続きを行います」と、月末での雇い止めを通告するメールが届いた。
女性によると、派遣元では正社員の雇用が維持されたのに、派遣社員は全員契約更新できなかったという。「都合よく切り捨てられる、非正規労働の本性を見た」と感じずにはいられない。
□新給付金 登録派遣も 宮本氏「手当てしっかりと」(2020.05.30 赤旗)
日本共産党の宮本徹議員は20日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が新しく検討している休業者向けの給付金について、登録型や日雇いの派遣労働者も対象とするよう求めました。
登録型派遣とは仕事のあるときだけ労働契約を結ぶもの。140万人にのぼる派遣労働者の半数を占めます。宮本氏は、観光業で働く添乗員がツアーの中止で収入がなくなっている実態を示し、登録型や日雇いの派遣労働者も給付金の対象とするよう迫りました。
厚労省の小林洋司職業安定局長は「雇用関係が継続していることを前提に、事業主の命によって休業している方が対象となる」「派遣労働者についても、そうした状況を満たせば対象になる」と答弁しました。
宮本氏は、多くの登録型派遣の労働者は休業補償が支払われず苦しんでおり、「しっかりと手当てをすることを検討せよ」と重ねて要求。日雇い派遣を解禁する議論が政府部内にあることに触れ「全く違う方向だ。不安定な働き方は禁止すべきだ」と主張しました。
□雇用改善、誇り続けたアベノミクスのツケ 続く派遣切り(2020.05.28 朝日新聞)
厚労省は当初、朝日新聞の取材に「内訳を調べることは考えてこなかった」(雇用政策課)などとして、詳しい調査に否定的だった。加藤氏は会見で「非正規と正規、それぞれの動向がわかるよう事務方に指示した」と発言。把握が不十分だったことを認めた。ただ、調べ方や内容は検討中で、調査を始めるめどは立っていないという。
「派遣がこんなに弱い存在だとは、思いもしませんでした」。西日本に住む派遣社員の30代の女性は、こう漏らす。
□非正規社員襲うテレワーク差別 妊娠、持病ですら認められず(2020.05.29 東京新聞)
新型コロナウイルスの感染拡大で企業に在宅勤務(テレワーク)が定着する中、非正規社員には在宅勤務が認められない問題が深刻化している。非正規の場合、妊娠中や持病がある人ですら出社を強制される例が多い。非正規社員への差別的扱いを禁じる同一労働同一賃金が4月から導入されたが、賃金格差どころか、正社員より高い感染リスクという「命の格差」に直面している。 (岸本拓也)
一連の企業対応からは派遣社員の立場の構造的な弱さが改めて鮮明になる。派遣の労働環境を整えるのは雇用主である派遣会社の責任だが、在宅勤務を認めるかは派遣先の企業次第だ。派遣会社は顧客である企業に遠慮し、派遣社員の処遇はなおざりにされがちだ。
妊婦に関しては五月から妊婦が医師診断を受け在宅勤務などを希望したときは、企業に応じるよう義務付けられたが、妊婦が雇い止めなどを気にして申告できるか懸念が残る。日本労働弁護団の江夏大樹弁護士は「派遣会社と派遣先企業の双方の責任があいまいになり、派遣社員が不平等な扱いを受けている。配慮が必要な妊婦らへの安全配慮義務を果たさない企業の責任は重い」と指摘する。
□(けいざい+)派遣添乗員の苦境:上 補償拒まれ「完全に収入ゼロ」(2020.05.26朝日新聞)
□(けいざい+)派遣添乗員の苦境:中 回復しても、人材確保に不安(2020.05.27朝日新聞)
□(けいざい+)派遣添乗員の苦境:下 不安定な雇用、使い潰す業界(2020.05.28朝日新聞)
□制度の隙間にすっぽり…日雇い派遣(2020年05月20日 日テレNEWS24)
制度の時間にすっぽり・日雇い派遣休業補償貰えず
「日雇い派遣」として登録し、石川県のホテルで勤務する女性。料理の配膳を担当していますが、新型コロナの影響で仕事は激減したといいます。
配膳業日雇い派遣で働く女性『コロナで外に出るのが怖いというのと同時にお金の心配も?一緒にしなければならない。ダブルですよね。3月の半ばからほぼなく、4月働いたのは1日だけです』
見せてくれたのは給与明細。2月にはたくさんあった仕事が、4月にはわずか1件。給料は8000円ほどになっていました。そして、この女性が訴えたのは休業補償を受けられない苦しさでした。
配膳業日雇い派遣で働く女性『全員配られる10万円とマスクだけですね。持続化給付金は個人事業主の届けを出してないので当てはまらないのかなと』
新型コロナの影響で売り上げが減少した中小企業などを対象に国が最大200万円を支給する『持続化給付金』。対象は、ひと月の売り上げが前の年の同じ月に比べ50パーセント以上減った中小企業や個人事業主などです。
しかし、この女性は日雇い派遣で個人事業主の登録もしておらず、給付を受けられないというのです。
□派遣社員、3割失業経験 民間調査 コロナ禍で相談増加(2020.05.20 日経)
ディップが全国の派遣社員1千人に聞いた調査によると、5月上旬時点で、自己都合も含め新型コロナの影響で失業を経験した人は回答者の29%だった。そのうち、派遣先の都合で失業した人は16%だった。失業した人の半数は別の就業先を見つけたが、残りは失業状態が続いている。
□派遣の大量雇い止め「5月危機」迫る 国は実態把握せず(2020.05.17朝日新聞)
コロナショックで派遣社員が大量に雇い止めされる「5月危機」が迫っている。6月末で契約が満了する人が多く、1カ月前の5月末に更新のタイミングが集中するためだ。すでに雇い止めされた人もいて「派遣切り」が横行するが、国は詳細を把握していない。
厚生労働省 派遣労働者の雇用維持等について要請(2020.5.26)関連情報
□厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について要請(2020.5.26)
令和2年5月26日
【照会先】
職業安定局 需給調整事業課
課 長 松原 哲也
課長補佐 米岡 良晃
(代表電話) 03(5253)1111(内線5312)
(直通電話) 03(3502)5227
報道関係者各位
新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について要請しました
新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえ、労働者派遣事業者団体である日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会、NEOA及び経済団体である日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会に対し、別添1~別添7の要請文により、新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について要請しました。
関係資料
別添1 要請文(日本人材派遣協会)
別添2 要請文(日本生産技能労務協会)
別添3 要請文(NEOA)
別添4 要請文(日本経済団体連合会)
別添5 要請文(日本商工会議所)
別添6 要請文(全国中小企業団体中央会)
別添7 要請文(全国商工会連合会)
□経団連 派遣労働者の雇用維持を会員企業に要請 新型コロナ(2020.05.29 NHK)
それによりますと、派遣労働者を受け入れている企業は可能なかぎり契約を更新するよう求めています。
また、やむをえず契約を解除する場合には、関連企業などを含めて新たな就業機会の確保を図るとともに、社員寮などに入っている派遣労働者に対しては、次の就職活動に支障が生じないよう一定期間の入居を認めるなど離職者の生活に十分配慮するよう求めています。
□派遣契約の更新努力を 経団連が会員企業に要請(2020.05.26時事通信)
経団連は26日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で雇い止めなどへの懸念が広がっている派遣労働者の雇用維持に向け、会員企業に協力するよう呼び掛けた。政府の要請を受けた措置で、派遣労働者を受け入れている企業に対し、安易な派遣契約の解除を控えるとともに、可能な限り契約を更新するよう要請した。
→ 新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等に関する要請書(pdf)
令和2年5月26日
一般社団法人日本経済団体連合会会長殿
新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等に関する要請書
日頃より、厚生労働行政の推進に格別の御配意を賜り、厚く御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症については、全国を対象として発出された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が昨日全ての都道府県で解除される等、経済活動が再開しつつありますが、引き続き内外経済や雇用情勢への影響が懸念されるところであり、特に、派遣労働者については、今後、労働者派遣契約や労働契約の更新の時期を迎える方が多くなると考えております。したがって、緊急事態宣言解除後も派遣労働者の雇用を維持するためには、派遣労働者を受け入れている派遣先企業の御協力が不可欠な状況になっていると認識しております。
派遣労働者の雇用の維持を図るため、貴団体におかれては、下記の事項について、積極的な御対応をいただくよう、会員企業への周知及び働きかけをお願い申し上げます。記
一 派遣労働者を受け入れている派遣先企業におかれては、労働者派遣契約の解除や不更新は派遣労働者の方の雇用の不安定に直結することを御認識いただき、安易な契約の解除をお控えいただくとともに、企業活動の円滑な再開に当たって、派遣労働者の能力を最大限に活用するという観点に立って、可能な限り労働者派遣契約の更新等を図ること
二 やむを得ず労働者派遣契約の解除や不更新を行う場合においても、「派遣先が講ずベき措置に関する指針J(平成11年労働省告示第138号)に基づき、関連会社における就業も含め、派遣元とも協力しつつ派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること
三 派遣労働者の生活の激変を緩和し求職活動への支障が生じないよう、社員寮等に入居している労働者については離職した場合も引き続き一定期間の入居について、できる限りの配慮を行うこと厚生労働大臣
加藤勝信