激増した休業者
図2は2019年1月から20年4月までの休業者数の推移を示しています。4月の休業者は597万人(男240万人、女357万人)、3月(249万人)に比べ2.4倍増です。前年同月比では3.4倍になりました。就業者***に対する休業者の比率も急上昇し、女性では12%を上回るなど記録的な数値です(図3)。
(注***) 就業者=従業者+休業者。従業者は調査期間中に実際に仕事に従事した人のこと。
リーマンショック時は製造業を中心に派遣切りや非正規切りが大きな社会問題になりましたが、今回のコロナ危機による休業者は、政府の緊急事態宣言や自治体からの休業要請を受けて営業を自粛した飲食サービス、スポーツジム、イベント業者、宿泊施設、バス・タクシー業界などをはじめ、製造業を含めおよそあらゆる産業に広がっています(表1)。特に宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業では雇用者の3割近くが休業状態に追い込まれています。休業者597万人の産業別構成を見ると(図4)、宿泊業・飲食サービス業、卸売・小売業の両産業で200万人に上り、製造業がこれに続いています。
日本の産業・就業構造は消費サービス関連産業の比重が大きいという特徴がありますが、これらの部門ではテレワークは困難で、いわゆる「三密」状態と不可分なため、感染症には脆弱であることが明らかになりました。休業者の激増はこれを象徴しています。