・政府・厚労省が、現行、労働者派遣制度では許されない看護師の日雇い派遣を、コロナ禍の緊急時であることを理由に、2月8日から1ヵ月のパブリックコメントを行い、4月から容認する動きを示しています。政府は、以前から日雇い派遣の対象を拡大する動きを示してきましたが、コロナ禍で逼迫している医療現場での看護師を集めることを口実にして、主に派遣業界からの業域拡大の要望に応える産官癒着の流れの中で、今回の措置を打ち出したものと推測できます。
コロナ禍の中で、看護師確保は緊急に必要ですが、それであれば正規雇用、人間らしい労働条件での待遇が必要です。日雇い派遣というきわめて問題が多い不安定・劣悪雇用で募集するのは、二重、三重に間違った政策というしかありません。改めて問題点を考えるために、関連した情報を集めます。(21.2.22)
・3月9日、締め切り前にパブリック・コメントを送りました。最初、Webで送ろうとしたのですが、2000字の上限がありました。既に書いていた意見は、5000字を超えていますので、どうしようかと思って調べてみると、「長文の場合は、郵送で送ると良い」との記事を見つけましたが、郵送では締め切りに間に合いません。ただ、FAXでも受け付けるとのことなので、FAXで送ることにして、無事、送ることができました。(swakita)
(参考)2021年3月9日に送付したパブリックコメント(pdf)
・その後、政府内の審議過程で、看護師日雇派遣推進の根拠として実体不明のNPOが登場したことが、3月末以降、問題になりました。それを知って、私は4月9日にTweetしました。政府・与党の働き方改悪の進め方は、働く者やそのサービスを受ける利用者の立場を無視したゴリ押しに憤りを覚えます。余りにも非民主的・欺瞞的で、一部の人材ビジネス業界の利権拡大に偏っていると思われ、厳しい監視が必要だと思います。今後も発言をしていくつもりです(swakita)。
・問題のNPOをめぐって黒塗りの資料が出てきて、国会審議で川内議員(立憲)の質疑などがあったとのことで、その関連情報を4/16アップしました。(swakita)
・4月以降、日本労働弁護団の反対声明と、厚労省の関連リーフレットの情報を追加しました(swakita)
・尾辻議員の4/23Tweet。野党の要求で、黒塗り文書の内容が判明(下記参照)。関連文書は尾辻議員が教示していただいたクラウドに(swakita)
意見 ワクチン接種業務を口実にした看護師の労働者派遣解禁に反対する
(非正規労働者の権利実現全国会議 共同代表 脇田滋)
看護師の派遣 全国的に解禁か検討へ ワクチン接種の体制不足で(NHK2021.4.11)
ワクチン接種 看護師の派遣労働 地域問わず容認検討へ 厚労相(NHK2021.4.13)
看護師の派遣労働 ワクチン接種会場に限り来年2月末まで容認へ(NHK2021.4.13)
「ワクチン接種限定」看護師の労働者派遣を全国解禁へ(朝日新聞2021.4.13) ←swakitaコメント
看護師の「日雇い派遣」解禁 何が目的? 課題は何?(NHKらじお 2021.3.4) 5月4日まで! (約13分)
日雇い派遣の問題点を、看護の専門家である小林美亜さんが指摘。看護の質が大きく低下するなど、多くの問題がある。 聞けば聞くほど、多くの問題が未解決のまま制度導入を急ぐべきでないと思う(swakita)
2007年当時、日雇い派遣の弊害が大きな社会問題になりました。弊害の多い派遣労働の中でも、きわめて不安定で無権利な働き方であることから、その廃止を求める声が高まりました。こうした声は、2009年の政権交代に結びつき、労働者派遣法の改正の際に、日雇い派遣廃止が、最優先の課題となりました。以下は、当時、TVや新聞からの依頼を受けて発言したものです。
・ 脇田滋 視点・論点 「派遣業 急成長の影」(2007年08月23日pm.10.50-11:00 NHK)
・ 脇田滋 日雇い派遣・偽装請負 世界最低のひどさ(しんぶん赤旗日曜版 2007.9.2)
・ 脇田滋 日雇い派遣の問題点(京都民報WEB 2011.9.8)
政府・厚労省関連情報
・厚生労働省「労働者派遣事業報告書」の様式が令和3年6月報告分から変わります。|リーフレット(2021.4.1) New!
・ 看護師の日雇い派遣 4月以降容認へ 厚生労働省(NHK 2021.2.21)
「新型コロナウイルスの影響で介護施設や障害者施設などで働く看護師へのニーズが高まる中、厚生労働省は、法律で原則禁止されている看護師の日雇い派遣について政令を改正し、4月以降認める方向で検討を進めています。」
・ 看護師、介護施設への日雇い派遣可能に 4月から(日経新聞 2021.2.18)
国会での質疑
反対声明関連情報
・ 日本労働弁護団「看護師等の労働者派遣を拡大する労働者派遣法施行令の改正に反対する声明」(2021.4.2) New!
以下、pdfファイル(日本労働弁護団HPサイト)↓
・ 日本医労連中央執行委員会 「社会福祉施設への看護師の日雇派遣」の解禁に断固反対する声明 (2021.2.24)
看護師日雇い派遣に反対 日本医労連が声明(2021.2.25 共同通信社)
・ 【#看護師の日雇い派遣に反対します】パブコメ全文公開!
・ 全労連 【意見】看護師の日雇派遣など医療専門職の労働者派遣規制の緩和に反対する意見(2021.3.8)
・ 中沢彰吾 これではまるで「人間キャッチボール」!安倍官邸が推し進める規制緩和の弊害と人材派遣業界の闇(2015.5.15) 「私は過去1年間、一般人材派遣業許可を有する多くの人材派遣会社に登録し、「日雇い派遣」としてさまざまな仕事に従事してきました。
各種国家試験等の試験監督のほか、学会の会場スタッフ、化粧品会社の卓上カレンダー組立作業、物流系倉庫でのピッキング、自治体の循環バスの乗客誘導員、テレビ局の新番組シミュレーション(鉄棒の逆上がりや体操のブリッジ、大縄跳び)、昨年12月の衆院選に際して有権者に支持政党や投票先を電話で聞き出す某メディアの世論調査、クリスマスケーキの製造、巨大モールのくじ引き抽選会、大学3年生向けの就活イベント……といった具合です。
そこで身をもって体験したのが、年収3000万円を豪語する人材派遣会社の20代の社員たちが、時給数百円で自らの親世代にあたる中高年男女を酷使するという、異様ともいえる「奴隷労働の現場」だったのです。」