映画紹介 「メイド・イン・バングラデシュ」 大阪で上映(2022年6.25~7.8)

 過酷なバングラデシュの職場で働いていた女性たちが労働組合を結成するまでを描いた映画「メイド・イン・バングラデシュ」が上映され、注目されています。公式ホームページ参照
 ただ、上映期間が短く、鑑賞する機会が限られていて見逃した方が少なくありません。私も、京都で4月16日に上映されたのですが、あいにく退院直後でしたので見に行くことができませんでした。
 幸い、大阪・九条の映画館「シネ・ヌーヴォX」で上映されること、また、その映画紹介を川喜田まり子さんから知らせていただきました(下記)。貴重な機会です。是非、多くの皆さんにご覧いただければと思います。
  バングラデシュと言えば、ラナ・プラザ事故(Rana Plaza Accident)を思い出します。2013年4月24日、ダッカにある5つの縫製工場を収容していたラナ・プラザビルが崩壊して、少なくとも1,132人が死亡し、2,500人以上が負傷した、史上最大の労働災害事故です。そのわずか5か月前、ダッカ郊外の工場の中に閉じ込められた112人以上の労働者が命を落とす事故があったばかりでした。
 「ラナ・プラザ」は、グローバルなサプライチェーンの下での最前線の過酷な職場で働かされる労働者、とくに女性労働者の過酷な実態を示す言葉です。新自由主義に対抗して、労働人権実現を目指す運動の中では克服すべき無権利状況の象徴として知られています。関連したドキュメンタリー映画「The True Cost」が日本でも上映されました(2015年)。これらの映画を通じて、華やかなアパレル業界の末端、バングラデシュの労働環境に想いを寄せ、それが私たちと密接につながっていることを考えてみたいと思います。 (文責 swakita 2022.6.17)

映画『メイド・イン・バングラデシュ』予告

映画紹介「メイド・イン・バングラデシュ」 川喜田まり子

 バングラデシュの縫製工場で働く女性たちが労働組合を結成するまでの闘いを描いた作品。主人公は23歳のシム、夫は失業中で彼女の稼ぎで生活を支えています。ある日、縫製工場で火災が起き、逃げまどう女性たち、その中で一人の同僚が犠牲になりました。数日後、給料の交渉のため工場に行ったシムは、門前で人権団体のスタッフの女性に声を掛けられます。その出会いをきっかけに労働者の権利や労働法、労働組合について学ぶようになったシムは、残業代の未払いや劣悪な労働環境など会社の不当な対応に疑問を感じて、ついに組合結成を決意します。仲間内の抵抗や夫の反対、会社の妨害にあいながら、法律を粘り強く同僚を説得し、組合結成に必要な署名数を集め、同僚たちと労働省に提出に行きます…。
 シムの夫の言葉に見える家父長制、あれこれ言って組合結成の許可を渋る労働省の役人の後から透けて見える工場経営者の巨大な力、バングラデシュの現状が描かれます。一方で、物語が進むにつれ成長し、妨害に立ち向かうシムの毅然とした姿は頼もしく、身に纏うヒジャブの鮮やかな色彩は彼女たちの意志の強さを表わしているようです。私たちが毎日着る安価なTシャツの背景にある、低賃金と劣悪な労働実態、女性たちの苦しみと涙にぜひ目を止めて下さい。
 これは実話に基づく物語で、監督は1981年生まれの女性。シムのモデルとなった女性は、この話の9割は事実だと語っています。5月初めに一般公開されましたが、強い要望に応えて6月25日~7月8日の間から九条の「シネ・ヌーヴォX」で再上映されます。

<上映時間>
上映時間
6月25日(土)~7月1日(金)12:45
7月2日(土)~7月8日(金)15:25
<上映場所> 「シネ・ヌーヴォX」 06-6582-1416 (アクセス地図)
大阪メトロ中央線「九条駅」6号出口徒歩3分/阪神なんば線「九条駅」2番出口徒歩3分

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