教員の勤務を記録・大学生らがアプリを開発

2021年2月28日付朝日新聞は、「先生の勤務時間 アプリで記録」「先生がスマホを持っていれば、学校に何時間いたか、残業は何時間だったかが自動的に記録される。そんな無料アプリを大学生らが開発した。」と報じている。無料アプリは「Wormat」で4月よりリリース予定とのことである。

 教員の働き方改革が社会的な問題になっているが、メンバーは「教員の働き方を考える学生団体」のメンバーでもあるとのことだ。

 自身の教育実習や現場の先生の話を聞き、さらに教員の超勤訴訟を支援する中でこのようなアプリの開発を行ったようである。

 記事の中で、開発メンバーは「タイムカードは押さずに仕事をする先生もおり、アプリの方が客観的に記録できる」と話している。

 教員の労働時間管理が当たり前になってきている中で、当事者である教員自身が「タイムカードを押さない」事実を痛烈に批判・指摘していると言える。本来、労働環境は当事者が自身の労働条件について、自身が考え、労働者としての権利を守る努力をしなければならない。労基署の監督官も「自身の労働者としての権利を守ろうとしない方を保護することは難しい」と話していたことがあった。

 今回のアプリの開発においては、教員自身が自身の労働時間を適切に把握するツールを利用しない事実があるのであれば、GPS機能を用いた記録をとることで労働時間を類推する、ということである。まずは、教員自身がタイムカードを打刻しない、あるいはタイムカード打刻後に仕事をする、などという脱法行為を反省すべきであろう

 現状から言うと、教員の労働時間は明らかに週40時間を遥かに超え、月間の超過勤務は80時間の過労死ラインを大きく超えているケースが多い。過労な状態の中で、タイムカードの押し忘れ、管理職からの圧力でタイムカードの不正な打刻などもある。そのようなこととは関係ない記録が記録されることは非常に有益だと言える。

 このアプリに付加されると良い機能は、部活動や研究会活動、家庭訪問で学校を離れる際の記録ができるとさらに正確な労働時間の把握につながると思われる。

アプリは、「post@educrew.jp」に件名に「メーリングリスト追加」、本文に名前と都道府県名、職業を買いて送信すればメールで無料アプリを受け取れる、とのことである。

 教員の働き方に強い関心を抱くメンバーは、教員志望者もいるのであろうか。このように教員という職業に強く関心を抱く若者がアプリを開発し、教員の働き方に強い警鐘を鳴らしている現役の教員がこの問題提起に応えることが強く求められているのではないだろうか。

この記事を書いた人

伏見太郎